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写真子供見守りシンポジウムを開催しました!

 8月22日、東京都青少年・治安対策本部は、豊島区・池袋にある東京芸術劇場で、「通学路における子供の安全確保のためにできること」と題したシンポジウムを開催しました。
 このシンポジウムは、6月28日に練馬区立大泉第一小学校前で発生した児童への切りつけ事件をきっかけとして、地域ぐるみで子供の安全確保を図っていくことを目的に、警視庁や教育庁との共催により実現しました。
 日頃、地域で子供見守り活動を行う防犯ボランティアの方を始め、児童や生徒の保護者、「子供110番の家・店」の協力者、児童通学案内員、子供の見守りに関心がある方のほか、スクールサポーター、スクールガード・リーダー、教職員、行政関係者等1,000名を超える方が会場を埋め尽くしました。
写真  開会後、警視庁や教育庁から主催者挨拶が行われ、シンポジウム開催の趣旨説明のほか、子供を取り巻く治安情勢等の説明、地域ぐるみの子供の見守りが呼び掛けられました。
 その後、明治大学理工学部の山本俊哉教授による基調講演、警視庁、教育庁、青少年・治安対策本部、児童通学案内員、防犯ボランティアの方から、それぞれの取組紹介、来場者へ向けたメッセージが発せられました。
 休憩を挟んで、パネルディスカッションを開催。コーディネーターに山本教授を迎え、河合青少年・治安対策本部長、教育庁の秀嶋地域教育支援部長、高野豊島区長、明大前ピースメーカーズ代表の本杉氏、練馬区小学校PTA連合協議会の横澤会長により、通学路で子供を守るためにできることについて意見交換が行われました。
 当日の様子を紹介します。
1 主催者挨拶
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■石田高久(警視庁生活安全部長)
  • 本シンポジウム開催のきっかけは、6月28日に練馬区の大泉で発生した児童切りつけ事件
  • この事件は練馬区だけでなく東京都あるいは日本国中に大きな衝撃を与えた。
  • 都内で小学生を被害者とする犯罪は、 今年7月まで1,300件が発生。つきまといや声掛けなどの前兆事案も320件と大変深刻な状況
  • 子供の安全を守るには、学校や行政、警察のほか、地域で子供見守りの活動をしている方あるいは保護者の方々が情報を共有し、連携をしながら対策を進めていくことがとても大切
  • 本日のシンポジウムでは、今後こうした活動がさらに充実していくことを期待している。
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■高野敬三(教育庁教育監)
  • 事件後、都教育委員会では児童や保護者の心のケアのため、アドバイザリースタッフを当該校へ派遣する準備を行い、PTAや自治会、青少年団体、警察署との連携を深め、地域と一体となった安全確保体制の再点検を依頼
  • 各学校の危機管理マニュアルを再確認し、教職員全体で安全管理についての共通理解を深めるなど、学校の安全管理体制を強化
  • 区市町村教育委員会へ幼児や児童や生徒の安全確保及び安全指導の徹底を依頼
  • 通学路における事件や事故から幼児や児童や生徒を守るためには、地域の皆様のお力添えなど地域一体の見守りが不可欠と考える。
2 基調講演 「地域で守る子供の安全」
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■山本俊哉(明治大学教授)
  • 子供は社会の宝、地域の宝。少子化が進むと、一層貴重な存在になる。
  • 「安全」と「安心」は決して同じではない。安心は「心」の問題。安心感は信頼感と関係する。不信感が不安感につながってくる。
  • 「安全」は客観的な測定が可能で、被害のリスクは発生する頻度と、発生した時に受けるダメージを掛け合わせたもので推し量ることができる。
  • 安全対策に絶対的なものはない。被害をゼロにすることは難しい。いかに発生頻度を減らし、発生したとしてもダメージを小さくすることに注力すべき。切り札はない。
  • 犯罪者は見られているかもしれないというリスクを考えながら犯行に及ぶため、いろいろな機会を捉えて、見守りやすい空間や状況を作っていくことがとても大事
  • 子供たちを見守るのは、保護者や学校だけではなく、地域の中でも庭いじりや花壇づくり、掃除など、地域では「プラス防犯」と呼ばれる様々な活動が行われている。
  • 千葉県鎌ヶ谷市では、ハロウィンと「子供110番の家」とを引っ掛け、楽しみながら子供と協力者を結びつける取組が進められている。
  • 豊島区は「セーフコミュニティ」や「セーフスクール」の国際認証を受け、地域ぐるみ、学校ぐるみで安全性向上のプログラムを進めている。担い手となる人づくりも重要な課題である。
  • できることから始めることが肝要。挨拶が基本。知り合いも増え、絆も深まる。防犯だけでなく、子供の健全育成にもつながる。
3 ミニ講演 「警察、学校、行政、地域の取組」
■山口寛峰 (警視庁生活安全総務課長)
 ~子供の犯罪被害状況、警察の取組と地域との連携~
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  • 本年1月から7月までの小学生への犯罪被害件数は1,315件。このうち約9割は窃盗事件で、ほとんどが自転車の盗難
  • 強制わいせつは61件、暴行・傷害は50件と、小学生が被害に巻き込まれた事件としては必ずしも少なくない。
  • 小学生への声掛け、つきまといという性犯罪の前兆事案は320件。これらはより重大な犯罪に発展する恐れがある。
  • 声掛けやつきまといの発生は、下校時が約4割を占め圧倒的に多い。また、不審者は大半が徒歩で近づいてくる。
  • 被害に遭遇した多くの小学生は、「大きな声や防犯ブザーを鳴らすことで、多くの不審者は逃げていった。」と述べている。これらはとても有効で、日頃から習慣づけることが大事
  • 子供は自宅に帰ってから保護者へ話すことが多いが、すぐに近くの大人へ話すことも大事
  • 警視庁は子供・女性安全対策室、通称「さくらポリス」を設置し、積極的に被疑者を検挙するとともに、不審者に対する警告も行っている。
  • 警視庁の取組は、腹話術や防犯講話、実践訓練、ロールプレイングなどの被害防止教室と、都と共同で実施している地域安全マップづくり。小学生自身がどうすれば身を守れるか考える機会を提供している。
  • 都内には、避難してきた児童や生徒の一時保護のほか、必要に応じて警察や学校等への連絡を行う「子供110番の家」が15万件あるので、確認してもらいたい。
  • 平成16年度から登下校時の児童の見守り活動やセーフティ教室の開催、学校周辺における教職員との合同パトロールに従事するスクールサポーター制度を導入
  • 現在、2,500を超える防犯ボランティア団体が通学路での保護や誘導に従事している。
  • 今後はますます連携の強化が必要。前兆事案等の情報は、小さなものでも警察署や学校、自治体へ伝え、通学路を見守る様々なボランティアやスクールサポーターにも共有して、きちんと対応できるよう取組を見直し、活動を強化していく必要がある。
■秀嶋善雄 (教育庁地域教育支援部長)
 ~東京都教育委員会の通学路における児童や生徒の安全確保の取組~
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  • 東京都教育委員会では、通学路における児童や生徒の安全を確保するため、学校や家庭、地域が一体となり、児童や生徒の安全確保を図る「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」を実施している。
  • 国や都、区市町村が3分の1ずつ経費を負担している。
  • 事業には大きく3本の柱がある。
    • スクールガード・リーダー(学校安全指導員)による学校の巡回指導や評価、スクールガード(学校安全ボランティア)の指導
    • 保護者や地域の方を対象としたスクールガード養成講座の開催
    • 子供たちの見守り活動の実施
  • 取組区市は、平成22年度が19区市、23年度が18区市、24年度が18区市、今年度が19区市
  • スクールガード養成講習会は、平成22年度から24年度まで年22~24回開催。毎年1,000人前後が参加している。
  • 子供見守り活動には、22年度18,698人、23年度20,103人、24年度27,795人が参加している。
  • 文京区と狛江市の取組事例を紹介後、学校や家庭、地域が一体となり、学校の安全体制が整備されたとして一定の成果を評価
  • 学校支援ボランティア推進協議会事業では、地域住民や保護者などがボランティアとして学校教育を支援する取組を推進。登下校時の子供の見守りも、この仕組みを活用。実施校数は着実に増加中
  • 「区市町村における通学路の見守りの実施状況」の調査結果によると、実施89%、未実施11%という回答を得た。スクールガード・リーダーやPTA、地域住民の方、教職員が多く、学童擁護員やシルバー人材センターの方も一定程度活動を行っている。
■五十嵐 誠(青少年・治安対策本部 治安対策担当部長)
 都の安全・安心まちづくりの取組 ~子供の安全確保に向けて~
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  • 日々の暮らしの中では、向こう三軒両隣の安全・安心が積み重なることにより、東京の安全・安心なまちは作られる。
  • 地域の実情に精通している区市町村が中心となり、警察や学校、PTA、地域の団体など様々な関係者と連携し、安全・安心なまちづくりを推進することが基本
  • 防犯では警察による取締りがとても大きな効果があるが、犯罪が起きにくい社会を作るためには社会全体で犯罪の抑止、安全・安心なまちづくりをすることが必要
  • 社会全体での取組は漢方薬的でなかなか効果が現れないが、子供や女性、高齢者という弱者を社会全体で包み込んでいくことが必要。また、加害者にも規範意識を回復してもらうことが社会の取組として重要。その際不可欠となるのが防犯ボランティア活動で、都はリーダーや新たな担い手を育成している。
  • 各地域では、地元の警察や自治体、学校、PTAなど様々な関係者が共通の目標の下に取組を進めているが、組織が異なるとその枠を超えることができず、取組にも隙間が生じる。このため都は、関係者の連携や協力を促している。
  • 都内の犯罪認知件数は大幅に減っているが、都民の都政要望は、毎年、「治安対策」が上位を占めている。いわゆる体感治安は、とても不安感が強い。たまに起こる殺人事件や身近なところで日常的に発生する高齢者への振り込め詐欺等が体感治安を悪化させている。
  • 今の社会が「おせっかいは嫌だ。自由に生きたい。」というものであるならば、その代償として社会全体で包み込む力が失われ、その結果、体感治安が改善されないのかもしれない。
  • 犯罪件数は大幅に減少しているとデータどおり正しく認識している方は、「治安は良くなっている。」と感じている。
  • ボランティア団体では後継者不足や活動のマンネリ化等が課題となっている。都はボランティア活動に関心がある学生の背中を押し、ボランティア団体へ参加してもらうなど、子供見守りの裾野を広げていく。
  • この10年で、都内の防犯ボランティア団体は153団体から3,982団体へ、また街頭防犯カメラも474台から4,157台へと格段に増加した。このことは、犯罪の認知件数の減少と相関関係があると考えられるため、今後とも取組を進めていく。
■廣戸 勇(練馬区・児童通学案内員)
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  • 私は6月28日、練馬区立大泉第一小学校前で事件に立ち会った。
  • (派遣元の)シルバー人材センターからは、犯人に向かっていくことを禁じられていたが、子供たちを救うため、一生懸命、犯人と対峙した。
  • 私が犯人を見つけた時点では、男は刃物を持っていなかったので、危険人物と見極めることができず、大きな事件となってしまった。
  • 犯人と対峙しているときは無我夢中なため、犯人がどんな人相、服装をしていたか、覚えていない。地域の皆様のおかげで、犯人の逃走車のナンバーや逃走方向が警察へ伝えられ、約50分以内に逮捕された。
  • 私は子供たちが安全に横断歩道を渡れるよう、注意しながら毎日の務めをしているが、もし不審な人が前方に見えたとしても、それを見抜くだけの眼力はない。
  • 今回は「子供を助ける」という判断が、被害を大きくさせなかった。自分なりに役目を果たせたと思う。
  • 子供の見守りに当たっては、親だけでなく、地域の皆様が一体となり子供たちの登下校を見守る。子供が安全に学校に行けるようにしていただきたい。
■本杉 香(明大前ピースメーカーズ代表)
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  • 明大前ピースメーカーズは、地元商店の振興組合が消費者から「生命の危険を感じるような社会情勢になっている。また財産の危険も感じる。」という話を受け、今から12年前の平成13年に結成された。
  • 当時は、地元の小学校付近で10日に1回痴漢被害があり、明治大学も安保闘争のため殺伐としていた。以前あった交番も焼き討ちされ、無くなってしまった。
  • 商店街は「安全・安心のまちづくり」をコンセプトに民間交番を立ち上げ、児童の登下校見守りに取り組んだ。挨拶運動も始めた。この結果、約6か月間で痴漢被害はゼロとなった。
  • 当時、警察庁とNHKに調査してもらったが、毎日活動(生活パターンが変わる日曜日は除く)している団体は、全国的にも他になかった。
  • 安全・安心のまちづくりを目指した「明大前」は安全になった。犯罪のないまちは地価も上がる。「明大前駅」の一日の乗降客数は、この10年間で3万人増えた。
  • 当初10人で活動を始めたが、その後45人体制となり、ここ2年間は57人に増えた。12年間も続けてこられたことには、ちょっとした仕掛け、秘訣がある。
4 パネルディスカッション
 ~通学路における子供の安全確保のためにできること~

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■山本俊哉(明治大学教授)
  • 先ほど、廣戸さんから事件の具体的な話があった。現場の近くに大人がいたことがポイント。大人がいても子供への犯罪は発生する。
  • 子供を標的とした犯罪は減少したが完全にはなくならない。
  • そういう点では警察や行政、学校、地域の取組がとても重要となる。マンツーマンディフェンスではなく、ゾーンディフェンスで面的に広げていく。簡単ではないが、具体的に連携して取り組んでいくという話をしていきたい。
■河合 潔(青少年・治安対策本部長)
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  • 今年6月、青少年・治安対策本部長に就任した。その前は警察庁の生活安全企画課長、警視庁の生活安全部長を務めた。
  • 本日は児童の安全確保について、都の治安対策行政と、警察行政の両面からお話しする。
  • 都内の犯罪件数が減っているのは、地域の方々がしっかりと頑張ってくれている成果。
  • 防犯ボランティアは、平成14、15年の頃と比べ26倍と格段に増えている。
  • 通学路における子供の安全確保のためには、地域社会で、できれば小学校の校区という単位でみんなが頑張ることが大事。地域で子供見守り活動を行う方を増やすことで、犯罪者が活動しにくい環境を作ることが大事。
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  • 「not knowing」(「知らない姿勢」)、地域で活動する方々は、お互いよく知らないのだから、まず役割分担や協力関係を確認して行動しましょう。
  • 持続可能な活動が必要。途切れてしまうと、犯人がつけ込む穴、隙間ができる。人づくりは一朝一夕にできないため、日々継続して持続的に行うことが必要。
  • 防犯カメラには「疲れない、眠らない、見逃さない、忘れない」という4つの長所がある。防犯カメラが増えることも大事だが、あくまでも人の見守りをしっかりとやってもらうことが必要。両方備わると、地域社会の安全・安心の力が上がる。
■秀嶋善雄(教育庁地域教育支援部長)
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  • 各地域でいろいろな取組がなされているが、そうした活動を進めるためには、学校と地域が互いに信頼関係を持ち、見守りを行うことが重要。
  • 例えば、地域の方がどういう時間帯に子供たちが下校するかを分かっていると、「何時に、子供がここを通る」という目で見てもらえる。
■高野之夫(豊島区長)
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  • 豊島区は日本一の高密都市であり、事件や事故など様々な課題を抱えている。
  • 豊島区は昨年11月、WHOによる安全・安心まちづくりの国際認証である「セーフコミュニティ」を取得。
  • 区立朋有小学校は、日本で3番目の「インターナショナルセーフスクール」という国際認証を取得。
  • セーフコミュニティ活動の基本は「予防」、キーワードは「科学」そして「コミュニティ」。地域課題の発生状況と原因を科学的に分析し、コミュニティ、地域の力で効果的な対策に取り組み、地域の安全を守っていく。
■本杉 香(明大前ピースメーカーズ代表)
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  • 私は12年間ずっと火曜日と金曜日の朝7時50分から8時30分まで小学校の登校見守りをしている。
  • 夜のパトロールも火曜日と土曜日の夜9時に民間交番に集まり1時間程度行っている。
  • 12年間続いた理由の一つに、「週1回出動」の義務付けがある。そして、週2回以上の出動はさせないこととしている。
  • 強制はしないが、自分が出ないと仲間に迷惑を掛けるという雰囲気は作られている。
■横澤由明
 (練馬区小学校PTA連合協議会会長)
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  • 事件の当該区のPTAを代表して、また現役の保護者の立場でお話しする。
  • 通学路における子供の安全確保には、防犯と交通安全の2つがある。防犯では、やはり子供を一人にしないことが大切。
  • 各学校の事情により異なるが、集団登校を行うと良いのではないか。
  • 学校や地域の皆様、PTA、行政等々が様々な見守り活動を行っているが、どうも縦割りで横の連携がない。どこかが中心となって、横の連携を支えることが肝要。
  • 練馬区では昨年の6月から第2土曜日の授業が始まっている。子供たちを交通事故から守るため、「授業がある土曜日のスクールゾーン化」が喫緊の課題となっている。
■山本俊哉(明治大学教授)
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  • 小学校区での取組がとても重要、担い手の役割分担も重要というお話だった。
  • 河合さんは広域行政あるいは警察として、高野区長は基礎的自治体として、横澤さんはPTA・保護者として、地域で子供見守りの目を増やす ためにはどうすればよいか、お話ください。
■河合 潔(青少年・治安対策本部長)
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  • 都は子供見守り活動事例集の発行等により取組のモデルを示すとともに、一定の要件を満たすボランティア団体への支援について情報提供している。
  • 学生の方々も、ボランティア活動に参加いただける機会を設けている。
■高野之夫(豊島区長)
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  • ボランティア組織によるパトロールや見守り活動への支援を行政としてしっかり行うことが重要。
  • 見守りの目を増やすという点では、組織的な活動とまでいかなくても、住民一人ひとりが少しでも見守りの目を持つことが必要。
  • そのためには、行政が交通事故や犯罪の発生状況、発生場所など、安全・安心に関する地域の情報を分かりやすく提供することが大事。
  • 情報も行政が一方的に提供するのではなく、地元の皆さんと一緒に作ることがとても大切。
■横澤由明
 (練馬区小学校PTA連合協議会会長)
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  • 練馬区内のほとんどの学校(PTA)で、見守り活動がされているが、PTAや保護者だけではカバーしきれない。
  • 行政や地域、PTA、学校が横展開できるシステムづくりが必要。練馬区には、防災に関する避難拠点運営連絡会という、区や学校、地域住民で組織した連絡会があり、学校を中心に防災に関するいろいろなことをやっている。こうした仕組みを作れば、見守りの目を増やせるのではないか。
■山本俊哉(明治大学教授)
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  • それぞれの立場でできることをお尋ねした。
  • 皆さんは、それぞれできることをやっているし、それぞれで連携しているが、どうしても隙間は生じる。
  • 皆さん、隙間を作らない子供見守りのため、必要な取組についてお話ください。
■河合 潔(青少年・治安対策本部長)
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  • 連携に当たり、「区境」などの地域的な境目が存在する。境目の所は、どうしても「力」は薄くなるため、いろいろな事件や事故が起きやすい。
  • 事件や事故が起きた時にも手助けができない。あるいは活動が手薄になる。
  • 警察では、警視庁と埼玉県警察で協定を結んで対応しているが、自治体同士も、合同の活動ができればよいが、そうでなくとも情報の共有により、少しでも隙間を減らすことができるようになるのではないか。
■高野之夫(豊島区長)
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  • 行政は縦割りであるが、それぞれの分野で一生懸命地域の皆さんと活動している。「セーフコミュニティ」や「セーフスクール」は、一定の地域エリアで安全・安心をテーマに分野の壁を乗り越えて連携する活動である。
  • まず情報を共有しながら、一緒にできることについて具体的に地域の人たちと話し合いながら進めていくことが大事。
  • 豊島区では、地域区民広場で絶えず連携を図っていく。
  • それぞれの地域では状況や状態に特色がある。統一的に全部一緒にやることはとても難しい。互いに連携を取れるところから連携をしていく。
  • 周辺の区とも情報交換を含めながら連携していく。
■秀嶋善雄(教育庁地域教育支援部長)
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  • 私どもの取組には、学校支援ボランティア推進協議会事業がある。どうしても縦割りになりがちな中、学校と違う立場で現役のPTAやそのOBにも加わってもらっている。
  • 様々なPTA活動をされる方は、地域でも活躍されている。そうした方もたくさんおられると聞いているので、上手に活用してまいりたい。
■本杉 香(明大前ピースメーカーズ代表)
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  • 朝の見守りに出動しているのは4、5人。小学校からの2人を合わせてもせいぜい5、6人。このため長い通学路は隙間だらけ。これを埋めるため、通学路の沿道の方に、我々からお願いの文書を配り、協力を得ることができた。
  • ただし、組織化されていないため常時やってもらう訳にはいかない。しかも制服を着ていないため、特に男性は不審者扱いされ、学校で大騒ぎになる事態もあった。
  • このため、お母さん方に「ちゃんと子供と一緒に玄関まで出て、子供が道路で見えなくなるまで、また見えなくなった後も5分間は見守りをしてほしい。」と頼んだ。
  • この取組は、いろいろな警察署管内でPTAを集めた運動となり、とても効き目があった。
  • 学校の先生によると、「お母さんにずっと見守られることで、スキップするような気持ちで学校へ行く。勉強に対する姿勢も変わった。帰宅後も親の言うこともよく聞くようになった。」と、とても評判が良かったが、お母さん方からは「朝の5分はもの凄く忙しい。」と続けてもらえなかった。それでは「5分早く起きて、見守りしてください。」とお願いし、何とか納得してもらった。その後はかなり実績を上げている。これは隙間を埋める一つの方法であり、何とかもっと伸ばしていきたい。
■横澤由明
 (練馬区小学校PTA連合協議会会長)
写真
  • PTAは、学校ごとに「単P」という小学校単位のPTAで活動しているが、学校ごとの活動には濃淡がある。
  • 連合協議会は各単Pが集まった組織。「校外補導委員」が校外パトロールや防犯等々の活動をしている。
  • 強制力はないので、なかなか「そのとおりやりなさい。」とは言えないが、一つの仕組みを作り、各単Pへお伝えすることはできる。
■山本俊哉(明治大学教授)
写真
  • 河合さん、高野区長、子供自身の危機回避能力の向上に役立つ「子供110番の家」や「地域安全マップづくり」の取組については、どのようにお考えか。
■河合 潔(青少年・治安対策本部長)
  • 「地域安全マップ」や「子供110番の家」は、さらに普及させることが大切。その上で、子供にはどうやって危機を回避するのかの訓練がもっと必要。「子供110番の家」は、どこが駆け込み先かを子供たちに認識してもらうことが大事。
  • 「地域安全マップ」づくりは、子供のマップづくり以外に、自治体による危険箇所改善へつなげることが必要。防犯ボランティアによる取組には、警察や役所の方にも同行してもらい、実際に地域環境を改善していく。子供の危機回避能力の向上だけでなく、地域の安全性を高めていくことが大事。
■高野之夫(豊島区長)
  • 「子供110番の家」については、協力者と子供とが噛み合っていない、顔を合わせることが少ないのが実情ではないか。
  • 豊島区では、「子供110番の家」の協力者と子供とがコミュニケーションを取るため、「地域安全マップ」を作る際、児童が「子供110番の家」を訪問して危険箇所について話を聞く取組を行っている学校がある。
  • 小学生が卒業する時、「子供110番の家」の協力者へ「本当にお世話になりました。」と手紙を出している。これにより協力者も「役に立っている。よし、頑張ろう。」という気持ちと誇りが高められている。
  • 「セーフコミュニティ」や「セーフスクール」の認証はお墨付きをもらって終わりではなく、新たなスタート。地域の課題解決を目標に、広く情報を共有しながら、細かな改善の積み上げを進めていく。
■山本俊哉(明治大学教授)
写真
  • 今日は、「通学路における子供の安全確保のためにできること」について、それぞれの立場からお話をいただいた。
  • 共通したキーワードは、「信頼関係の構築」、「持続可能性」、「連携」と、それらの「仕組みづくり」。
  • その具体的な方法として、「セーフコミュニティ」や「セーフスクール」が挙げられた。
  • 形骸化している「子供110番の家」の取組についても、もう少し深めなければならないなどの課題が挙げられた。
  • 犯罪の問題からスタートしたが、交通安全や防災の問題も挙げられ、それらを通じた連携の重要性も指摘された。
  • 最後に、高野区長から「セーフコミュニティもセーフスクールも出発点」という話があった。このシンポジウムも、「今後更に連携していくための出発点」ということを認識して、パネルディスカッションを終わりにしたい。


1 主催者挨拶

(1) 警視庁生活安全部長(石田高久)

(2) 都教育庁教育監(高野敬三)

3 ミニ講演

(1) 山口寛峰(警視庁生活安全総務課長)

(2) 秀嶋善雄(都教育庁地域教育支援部長)

(3) 五十嵐誠(青少年・治安対策本部治安対策担当部長)

(4) 廣戸 勇(練馬区・児童通学案内員)

(5) 本杉 香(明大前ピースメーカーズ代表)

* 配布資料

次第

基調講演 地域で守る「子供の安全」
 山本俊哉(明治大学教授)

子供の犯罪被害状況・警察の取組と地域との連携
 山口寛峰(警視庁生活安全総務課長)

東京都教育委員会の通学路における児童や生徒の安全確保の取組
 秀嶋善雄(都教育庁地域教育支援部長)

都の安全・安心まちづくりの取組~子供の安全確保に向けて~
 五十嵐誠(青少年・治安対策本部治安対策担当部長)

規範意識の向上と地域の絆の再生
 河合 潔(青少年・治安対策本部長)

■アンケート回答者数/回答率 627名/58.8%
■団体別回答者数
■シンポジウムの開催を知り得た情報

【その他の主な内訳】

所属団体の通知

東京都の通知

区市町村の通知

教育委員会の通知

警視庁・警察署の通知

町会・自治会の通知

青少年地区委員会の通知

シルバー人材センターの通知

■シンポジウムに参加した動機

【その他の主な内訳】

子供見守り活動の参考とする

児童通学案内員の役割を再確認する

民生委員の地域活動につなげる

子供たちと関わることが多い

幼い子供がいる

廣戸さんの行動に興味があった

■シンポジウムの感想

【良かった点】

話の内容やポイントが明確だった

それぞれの立場からの現場の声が聞けた

これからの取組に方向性が見えた

早い段階でシンポジウムを開催したこと


【良くなかった点】

具体的な事例や体験談がもっとほしかった

パネルディスカッションの時間が短かった

連携の取組手法が知りたかった

■シンポジウムで印象に残った内容(複数回答)

【その他の主な内訳】

「隙間」を作らないための連携

事件当時の状況

持続可能な活動の秘訣

セーフコミュニティ

セーフスクール

スクールサポーターの活動内容

■日頃の子供見守り活動(複数回答)

【その他の主な内訳】

子供会の活動に参加

外出時に腕章を装備

夜間パトロール

青色パトロールカーによる

セーフティー教室の開催

これから取り組みたい

子供の安全確保に向けた興味・関心のあること(複数回答)

【その他の主な内訳】

子供を取り巻く環境

子供のいじめ、非行防止

子供自身の防犯意識の向上

活動者自身の安全確保策

学校、行政、地域、警察との連携

区境の取組

防犯リーダーの若返り

明大前ピースメーカーズの取組例

学校安全ボランティアの募集、調整



■シンポジウムに参加して今後の活動に活かしたいと思ったこと

  • 地域住民の安全・安心の取組と学校や行政との連携を図りたい。
  • 子供見守り活動が地元で活性化するように努力したい。
  • 市民や地域、関係機関との連携した総合的な対策に取り組みたい。
  • 隙間をなくすというキーワードを基に、他団体と連携しながら活動していきたい。
  • できることから始めたい。
  • 母親の見守りとして朝の5分間の取組をしたい。
  • 現在の取組を見直し、より良い形にしていきたい。
  • 行政には適切な情報共有と役割分担をお願いしたい。
  • 無理をせず着実に持続した活動をしていきたい。
  • 普段のコミュニケーションを活発にしていきたい。
  • 本杉さんの「無理をさせない取組」により、活動を持続したい。
  • 日頃の登下校見守りとともに見守り隊の方々と情報交換をしていきたい。
  • 地域の危険箇所を再確認し、安全対策に活かしていきたい。
  • 保護者の立場で、子供見守り活動を行い、子供の見守りの取組を広めていきたい。
  • 今後機会をつくって子供見守り活動に参加したい。
  • 安全で安心な学校づくりに努力していきたい。
  • 保護者や学校関係者へ、今回の話に基づいた話をしていきたい。
  • みんなで子供たちを見守る意義や重要性を保護者に伝えていきたい。
  • 学校でできることだけでなく、自分や地域でできることも考えていきたい。
  • 保護者の方や地域の方の意識をあげていきたい。
  • スクールサポーターとして子供の登下校時の安全対策に努めてまいりたい。
  • 地域の力が治安の向上に深く関わっていることを伝えていきたい。
  • ボランティアの方は高齢者が多いので、若い人にも声を掛けていきたい。
  • より多くの地域の方に子供見守り活動を行ってもらうアイデアを考えていきたい。
  • ボランティアリーダー育成に努めていきたい。
  • 周辺地域や関連団体との横の連絡づくりを考えていきたい。

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