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拍子木の音が住宅地に響く防犯パトロール
~町田市「南つくしの自治会」と青色防犯パトロール活動~

写真1南つくし野自治会(さくらボランティアパトロール隊)の皆さん

 

 東急田園都市線の「すずかけ台」の駅前には、南つくし野町自治会の集合場所「すずかけ会館」があり、その駐車場には白黒のボディーに青色の回転灯がついた『青色パトロール車』が停まっています。

 今回ご紹介するのは、町田市南つくし野自治会と青色パトロール車の活動です。

 「実はこれ、二代目の車両なんです。」と笑って教えてくれたのは、南つくし野自治会会長の最上久美子さんです。

 「先代の会長さんがボランティア活動に熱心な方で、最初は平成13年に、ご自分の車をパトロールに提供してくれました。その後、パトロール車の出動回数も増え、他の活動にも多く利用する機会もあり、青パト車両を導入しようということになり、15年ほど前に初代の青パトを購入しました。そして、自治会の設立50周年の節目を迎えたことを記念して、最近これに買い替えました。

 この青パトは、コロナ禍の間も年間100~120回も南つくしの全域をパトロールしてきました。」

 

写真2すずかけ会館に駐車している「青パト車」

 

 早くから青色パトロール車の導入を行った町会ですか、会長の最上さんが青パトの必要性を感じたのは、あるボランティア体験がきっかけだったそうです。

 「以前、警察署の交通安全週間のパトロールを手伝ったことがあります。それは、運転を担当する人の他に助手席に座った私がマイクで広報しながら街を巡回するというものでした。その経験から、後に自治会の防犯活動を始めたときに、『交通安全パトロールがあるのだから防犯のパトロールだってあったらいいのに!』と思ったんです。」

 すべては、この「あったらいいのに」という思いがきっかけだったそうです。町田警察署のアドバイスも受けつつ、専用車両の購入へとトントン拍子に話が進み、平成19年、都内でもまだ青パトの活動が少ない頃に、自治会として青色パトロール車を保有することになったそうです。

 

写真3最上久美子さん

 

 現在、こちらの自治会には1205世帯の方が住んでいらっしゃるそうです。町田市内でも有数の大規模自治会とのことで、その運営や防犯活動を円滑に行うために、様々な工夫が凝らされています。

 「南つくし野」には1丁目から4丁目まであり、そのうち2丁目が南北に分かれているため、全部で5つの支部が存在します。本部(全体)の業務は10の部門に分けられ、総務部、環境部、防犯部、防災部、資源回収部……など多岐にわたります。活動内容もさまざまで、例えば、防犯パトロールの場合には、各支部で行うパトロール(5つの支部・5つのボランティアチームによるパトロール、本部によるパトロール)と町会全体で一斉に行うパトロールの両方が計画されており、これら全ては、事前に立てられた年間計画に沿って進められるそうです。

 「24時間、いつも誰かがどこかで見守り(防犯)活動ができれば良いと思っています。『無理をせず、できることを出来るときに!』です。」と最上会長。

 取材班がお邪魔した日には、まさに、徒歩によるさくらボランティアパトロール隊の防犯パトロールが実施されていました。

 

写真4さくら公園から拍子木の合図でパトロール開始!

 

 本日取材を行った南つくし野自治会は、歳末夜間パトロールがスタートだったそうです。その名残で、メンバーは拍子木を鳴らしながら街路を分け入っていきます。「通販で3000円で買いました。」と、最上さんが笑って教えてくれた拍子木の音は住宅の塀や壁に反射し、空の彼方まで響き渡ります。

 その甲高い音に続いてハンドマイクを使ってリーダーの福田さんが「特殊詐欺の被害が増えています。電話でお金の話をされたら、それは詐欺です。」と特殊詐欺の被害防止を呼びかけます。真夏の酷暑のなか、アップダウンの多い道を歩くのは大変のはずですが、ゴミが落ちていれば、一緒に参加している福田さんの奥様がサッと清掃用のトング(ゴミはさみ)でゴミを掴むとポケットから出したスーパーの袋に入れていきます。

 「きれいな街は防犯に繋がりますから。」と福田さん。

 まさに、このパトロールは、防犯・防災・環境浄化の一石三鳥を実現しているものでした。

 

写真5きれいな街は安全・安心につながります

 

 自治会で運営する青色パトロール車は、様々な防犯パトロールを行っています。せっかくですので少しご紹介します。

① 資源回収パトロール
 資源ゴミの持ち去り対策として、朝の回収時間帯に行うパトロール。
 これは、資源回収の持ち去りが多いとの住民の方の声を受けてスタートしました。
 ※コロナ禍以降持ち去りは減りましたが、今後も継続予定です。

②建築協約パトロール
 地域の建築協約を守っているか、建築現場の看板等をチェックしながら防犯パトロール。
 ※最近は、泥棒対策に空家・空地のパトロールの呼びかけを実施中

③朝市パトロール
 土曜日に開催される土曜朝市に合わせて防犯広報を実施。

 「こうした住民の意見に寄り添った柔軟な活動をし、住民の防犯意識を高めてもらうことを目的として、日々の活動を行っています。それが、ひいては『安全・安心なまちづくり』につながると信じています。」と最上さん。 取材の最中に街の人がパトロールの方に気軽に声を掛けてくる方が多く、この活動は既に街に根付いているのだなと感じました。

 

写真6青色パトロール車のトランクには
「防災グッズセット」と消火栓に設置する「スタンドパイプ」を搭載中
写真7青色パトロール車担当の中巻副会長と住民の方

 

 こうした活動を地道に続けた結果、令和元年には地域の防犯活動に永く功労があったとして、「南つくし野自治会」に内閣総理大臣賞が授与されたほか、最上さん個人としても総理大臣から表彰されるという栄誉に輝きました。首相官邸に出向いて、当時の安倍晋三総理から表彰状を直接受け取ったそうです。

 今後について最上さんは、「もう何十年も前のことですが、この付近で侵入盗が多発した時期がありました。それが今は年間2~3件という状況になりました。私たちの防犯パトロールなどの活動が少しは役立ったのかな、と思う部分はあります。この状況を少しでも長く維持するには、会員さんのご協力と、特に若い世代の参加を促すことだと思っています。2~3年前からデジタル環境に力を入れたことで、情報発信と収集がしやすくなったと思います。これからも皆で力を合わせて活動を続けていくつもりです」

 南つくし野自治会のメンバー、そして青色パトロールの中巻副会長と共に力強く話してくれました。

 

写真8安倍総理からの表彰状