令和6年6月4日、JR埼京線・十条駅前にて「痴漢被害撲滅キャンペーン」が実施されました。このキャンペーンに、同駅を利用する大学生をはじめとする多くの参加者が集まり、十条駅を利用する人にチラシを手渡しするなどの活動を行いました。
~『協力の輪』の広がり~
このキャンペーンの発端は、電車内などでの痴漢被害をなくすため、警視庁板橋警察署の呼びかけによりスタートしました。
板橋警察署からの声にいち早く応じたのが、十条駅近くにある東京家政大学の学生たちでした。東京家政大学の学生支援課には、学生から『何かボランティア活動をしたいのだけれど、やりたいことが見つからない――』という声が以前から寄せられていたそうです。
今回の駅前キャンペーンに学生が参加することが決まり、隣接する王子警察署、板橋区と北区、JR東日本、同じ十条駅を利用する帝京大学、そして東京都などへと“協力の輪”が広がっていきました。
~学生の率直な想い~
十条駅は、駅そのものは大きくはありませんが、平日朝には利用者が非常に多く、電車が着くたびに大勢の乗降があります。キャンペーンの参加者は、そんな利用者たち一人ひとりに声をかけながら、チラシなどを手渡していきます。
この日参加していた東京家政大学の学生5人は全員、自身の痴漢被害の経験はないとのことですが、同級生のなかには何人も被害を受けた学生がいるそうです。参加した学生からは、「こうして私たちが活動することで、悪質な犯罪を少しでも減らすことができたら」との期待が込められます。その一方で、「自分の体に何かが触れたとして、それが単に手や鞄が当たってしまっただけなのか、それとも痴漢なのか。瞬時に識別できないところが難しいと感じています」とも話してくれました。たとえば地方出身者など、都内の満員電車に慣れていない人には、ちょっと対応が困難なポイントなのかもしれません。
~キャンペーンを支援~
参加者のなかにひとり、真っ赤な衣装が目立っている女性がいました。板橋区にあるハッピーロード大山商店街で公認ハッピーアンバサダーを務めるなど、板橋区を中心に様々な場所でシンガーソングライターとして活動する「CUTIEPAI・まゆちゃん」です。
「以前、板橋警察さんのイベントにお招きいただいてからご縁ができて、その後もたびたび防犯キャンペーンにお邪魔するようになりました」と言い、「埼京線は、痴漢がとても多い路線だと聞いています。盗撮も含め、そういった性犯罪にあってしまう女性たちを、私が守らなくて誰が守るんだ! という強い気持ちで、今後もお手伝いしていくつもりです」と高らかに宣言してくれました。
「私は子供向けのイベントにも定期的に参加しているのですが、やはり子供たちは地域の宝だと実感しています。守るべきなのは女性だけでなく、子供たちも同じです」
女性や子供が安全・安心に暮らしていけることは、そのまま「安全・安心な街」の指標でもあります。それを一夜にして確立することは困難かもしれませんが、大学生や地域の方々の力によって開催されたこのキャンペーンによって、一歩ずつ前進していることも確かです。
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