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令和4年度 防犯ボランティアのつどいを開催
~ ボランティアの皆さんが集結・交流。若い力も ~

 令和4年10月9日、調布市で令和4年度「防犯ボランティアのつどい」が開かれました。平成17年度から年2回ずつ、防犯ボランティアの皆さんを応援する目的で開催している「つどい」ですが、今回もコロナ禍への対策として会場参加者を制限し、インターネットを介したリモート開催と並行して行われました。

写真:集合写真

 今回の「つどい」が開かれた「調布市文化会館たづくり」は、京王線調布駅からすぐの場所にあります。3連休の中日であるこの日は、調布市役所前広場で商工まつりが開催されており、多くの屋台や模擬店にたくさんの親子連れなどが詰めかけるなか、「つどい」にも熱い参加者たちが訪れてくれました。
 まずは、主催の東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部の藤原朋子課長による挨拶。近年、都内の犯罪認知件数が戦後最少を記録しつづけていることや、それでも高齢者や子供を狙った犯罪が後を絶たない現状に触れた後で、次のように話しました。
「様々な犯罪を防ぐためには、やはり防犯ボランティアの皆様の力が大切です。私ども東京都でも、“わんわんパトロール”や“ランニングパトロール”を奨励するなど、防犯ボランティア活動の裾野を広げる取り組みを行っています。さまざまな事業者に対し、仕事をしながら街や人の安全を見守ってもらう“ながら見守り”連携事業も推進しています。本日は、この催しに参加いただいたことで、皆様の活動に少しでもプラスになれば幸いです。」

写真:藤原朋子課長
藤原朋子課長

 カリキュラムは2部制で、第1部は当サイト内の「情報投稿マップ」の紹介です。このページは、防犯ボランティア団体の活動を画像と文章で記録・投稿できる日記のようなもので、他団体の投稿を閲覧することも可能。東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部の櫻井繁課長代理が進行役を務め、使い方を実演しながら説明しました。

※「情報投稿マップ」はこちらから
https://survey-information-bouhan-tokyo.hub.arcgis.com/

 参加者は自分のスマートフォンを使用し、仮のアカウントを取得して簡単な書き込みをするところまでが一連の流れ。やや苦労される方もいましたが、場内のインストラクターにレクチャーを受けて、リモート参加者を含む皆さんが無事にゴールに到達することができていました。
 実際、この「情報投稿マップ」に活動結果を投稿してくれる団体も徐々に増えています。慣れてしまえば操作は簡単。もっとたくさんの方々に活用いただくことで、防犯ボランティア活動の活性化に繋がると嬉しいです。

写真:櫻井繁課長代理
櫻井繁課長代理
写真:インストラクターがお手伝い
インストラクターがお手伝い

 第2部は、(株)まちづくり計画研究所代表取締役の今泉重敏さんによる講義。防犯ボランティアの“先進県”とされる福岡県を中心に長く活動されてきた今泉さんの講義は、軽妙でありつつ、その経験の蓄積から繰り出されるメッセージの数々には重みがあり、参加者の皆さんもうなずくばかり。
 冒頭は、こんなアドバイスから始まりました。
「まず地域には『まちづくり2・6・2の法則』があります。まちづくりに関し、前向きな2割、足を引っ張る2割、黙って様子見の6割。『前向きな2割』の方々と一緒になって、実現可能なアイディアを達成し、自信をつけながら前に進むのが大切です」

写真:まちづくり2・6・2の法則

 続けて、「人の顔が異なるように、地域の顔も様々です。地域らしさを生かして、何事にもプラスに捉えて、関係者の意識を高めていくのがポイントです」。
 前回5月のつどいでも披露された、この今泉流の法則とアドバイスは、今回も参加者の心を掴んだようです。その後も、様々な経験をもとに実践的なアイディアを次々と披露してくれました。
 今回は、当日、参加者の皆さんが最も驚いたエピソードをひとつご紹介します。

写真:今泉重敏さん
今泉重敏さん

 今泉さんの地元、福岡市に隣接する糟屋郡久山町(かすやぐんひさやままち)は、町内の大半が山林で、中心となる産業は農業。この町の東に位置する上久原(かみくばら)地区では、田園地帯ならではのユニークな防犯対策で最近注目を浴びています。なんと、田畑でよく見られる“かかし”を防犯にも役立てているのです。
 かかしは普通、竹の棒や藁などを骨組みにして布を被せて人体を模し、それを田畑に立てて置き、その目的は、田畑を荒らす害獣を大事な農作物に寄せつけないことです。鳥やイノシシなどの害獣たちは人間だと勘違いして恐れてくれるのですが、私たちが見ればただの人形。ところが、久山町の“かかし”はリアルそのもので、まさに“防犯かかし”とも呼べます。農作業や庭仕事をしている姿をした人形が、まるで人間そのものの形で、住宅地を含む地区内各所に置かれて、かかしか本物の人か区別がつかないほどです。設置のポイントはその土地の生活感とマッチしたもので、帽子やタオルで顔を隠し、リアル感を高めること。
 悪いことを企む人は、人の目、住人の目を気にします。田舎で人が少ないとはいえ、本物か、かかしか区別がつかない「防犯かかし」を置くことによって、誰かに見られている・人がいる(感じがする)街の雰囲気を作り、防犯効果に繋げています。
「防犯の方法はさまざまですが、その場所に適したスタイルというものがあります。この人形などは、まさにその具現化ではないでしょうか」
 何かを大きく変えるために必要だったのは、ほんの小さなきっかけだった……というのは、よく聞く話ですが、実際の写真とともにスクリーンで紹介された実例に、会場参加者もリモート参加者もおおいに納得していました。

写真:久山町上久原地区の防犯かかし
久山町上久原地区の防犯かかし

講義の後半は、参加者を4~5人ずつに分けてのグループワーク。ひとりずつ自己紹介シートを作成することから始まると、すぐに打ち解けて会話も弾みます。皆さんの興味の中心は「ほかの団体がどのように活動しているか」ということですが、メンバーの高齢化や後継者不足などについても、大きな課題として語られていました。
 今泉さんは言います。
「一人ひとりのメンバーには個性があり、たとえば絵が上手とかいうような特技もあります。そうしてメンバーの人柄や特性を引き出すことも、活動を活性化することにつながりますので、ぜひ探してみてください」

写真:まずは自己紹介シートの作成
まずは自己紹介シートの作成
写真:この方はプロのイラストレーター
この方はプロのイラストレーター
写真:
写真:講師を囲んだディスカッションも盛んに
講師を囲んだディスカッションも盛んに

 今回の「つどい」には、未来ある若い力も参加してくれました。現在は東京都市大学4年生で、来春から都内某区の区役所に勤務する予定の望月雄一郎さんです。
「僕は区役所の職員として、区民のために働くことになります。でも、仕事ではなく個人としても何かできることがあるのではないかと考え、防犯ボランティアに興味をもつようになりました。卒論も防犯ボランティア活動をテーマにまとめる予定 です。今日は、実際に活動をなさっている方たちの話をたくさん聞けて、とても刺激を受けました。今後ももっと勉強して知識を深め、少しでも地域のためになれればと思っています」
 望月さんはさっそく、グループワークで同席した方の活動に参加する約束をしていました。「今度、青パトに乗せてもらえるんです」と喜ぶ姿が、とても印象的でした。
 この望月さんは22歳、この日の参加者の最高齢は84歳。こうして、幅広い世代が参加してくれた「つどい」は今回も無事に終了しました。次回は、来春の開催予定です。

写真:望月雄一郎さん(左)
望月雄一郎さん(左)


【取材日:令和4年10月9日】