令和3年11月2日(火)、東京都庁第一本庁舎5階大会議場において、「令和3年度 東京都都民安全推進本部長賞表彰式」が執り行われました。この賞は、都内で広域的な防犯活動を実施し実績をあげている方々、長年防犯活動を継続的に実施している方々、地域の安全・安心に関して模範となる先駆的な防犯活動を実施している方々などに贈られるもので、本年度は34名・7団体に表彰状が、29団体に感謝状が贈呈されました。
式典では、最初に御参列の表彰状受賞者のお名前が読み上げられ、小西康弘東京都都民安全推進本部長から、受賞者を代表して、小金井市の尾崎庸子さん、荒川区の北豊島ボランティアクラブから代表として下村優華さん、「ながら見守り連携事業」の締結事業者である株式会社カクヤスグループから代表取締役社長の佐藤順一さん、同じく一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会から総務委員会委員長の太田祥平さんの4名に対して、表彰状が贈呈されました。
表彰状の贈呈後、小西都民安全推進本部長は、「本日御参列いただいておられない方々を含めまして、受賞された皆様に、心より感謝を申し上げるとともに、これまで皆様の活動を支えてこられた、御家族や関係者の皆様にも厚く御礼申し上げます。」、「東京の安全安心は、皆様の真摯な取組の積み重ねによって支えられているものであります。」と謝意を表した後、「私たちの生活はコロナ禍の影響により大きく変わりましたが、こういう時こそ、『安全安心』が重要になってきます。安全安心かつ安定した都民生活を守るため、地域防犯の第一線で御活躍をされておられる皆様とより一層、連携を深め、ともにこの難局を乗り越えてまいりたいと考えております。」と式辞を述べました。
式典の最後に受賞者の代表としてスピーチしたのは、青色防犯パトロール部門の表彰を受賞した高井戸東地区防犯パトロール隊代表の杉山卓男さん。独自の民間交番を開設するなど、幅広い取組を行っている団体です。
「壊れた自転車が山積みにされ、落書きで汚されていたバス会社の運転手待機所がありました。そこでバス会社と交渉し、その場所を使わせてもらうようになったのが民間交番の始まりです。現在ではパトロール隊の拠点になっており、建物の周囲に花壇を造って地域の子供たちと一緒に花の手入れをしています」
これまで国内外の大学などから数々の視察を受けたという民間交番は、四方を見渡せる交差点の角にあります。小学生の通学路でもあるため、下校時には「こんにちは」「おかえりなさい」の声が飛び交うそうです。
杉山さんは、「犯罪のない、明るい地域をつくるのが防犯。それは、地域の子供たちを育てることと同義」だと断言します。そのため、子供が社会参加しやすい環境をつくれるようにと、青パト車両の体験乗車なども行っているそうです。
表彰式の終了後に、代表として表彰状の贈呈を受けた、北豊島ボランティアクラブの下村さんと、株式会社カクヤスグループの佐藤さんにお話を伺いました。
私立北豊島学園は、荒川区にある中高一貫の女子校。今回は、6学年から合計20名ほどが加入しているというボランティアクラブが受賞となりました。代表として表彰式に参加した部長の下村さんは、「すごく立派な式で、周りは大人の人ばかり。表彰式に学校から参加したのは私ひとりだったので、とても緊張しました。」と笑います。
ボランティアクラブの普段の活動は、学校周辺の清掃活動などさまざま。ときには、所轄警察署が実施する特殊詐欺撲滅キャンペーンなどにも参加して、地域住民が犯罪被害にあわないよう協力しているそうです。
「私はもう部活からは引退していますが、大学受験が終われば時間に余裕ができるので、この受賞を後輩たちに伝えるとともに、できるかぎり活動に戻りたいと思いました。」と、元気に話してくれました。
酒類小売チェーンの株式会社カクヤスグループは、従業員による“ながら見守り”の活動が受賞理由となりました。同社社長の佐藤さんは、「私たちは毎日、お酒を配達するのに街中をくまなく走り回っています。これを何かに生かせないかと考えていたときに、“ながら見守り”に行きついたんです。」と説明します。
活動開始は2019年7月のこと。以来、すべての配達車両(トラック軽車両約700台、リアカー付き自転車約360台)に防犯ステッカーを貼付し、ドライバーは街の様子に目配りしながら配達業務を行っています。そうした“街の見守り”は、配達担当者だけでなく約4000人の全従業員が行うのだそうです。
「酒屋というのは昔、町内会長のような役割を果たしていました。それを現代に置き換えてみたら、こんな活動になったわけです。今のところはまだ、何かの事件の芽を摘んだとかいうような“目に見える結果”は出ていませんが、こういうことは継続が大事。ですので、今後もずっと続けるつもりです。」
佐藤さんは、そう力強く語ってくれました。
このページの関連カテゴリー