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令和3年度「防犯ボランティアのつどい」を開催

令和3年度「防犯ボランティアのつどい」

 令和3年10月10日、武蔵野市の武蔵野スイングホールにおいて、今年度2回目となる「防犯ボランティアのつどい」が開催されました。平成17年度から毎年続けられているこのイベントも、昨今のコロナ禍によって昨年の市部での開催は中止、本年度の区部での開催はオンライン開催になるなど制限されていましたが、今回はひさしぶりに対面での実施となりました。
 会の冒頭で、東京都都民安全推進本部安全・安心まちづくり担当課の藤原朋子担当課長は、次のように挨拶しました。
「この催しは、防犯ボランティアの皆さんを応援することを目的に、皆さんの活動が息の長い充実したものになることを願って実施してきました。今回、緊急事態宣言が長引いたこともあって開催が危ぶまれたのですが、感染拡大状況も落ち着きましたので、こうして皆さんの顔を見ながら会場で開催できる運びとなりました。このコロナ禍によって、皆さんの活動も制約を余儀なくされたり、普段の活動についても何らかの模索をしているのではないでしょうか。今日は、皆さんの活動の持続やモチベーションアップにつながるヒントを少しでもお示しできればと考えていますので、ぜひ最後まで楽しんでいってください」
 すでに緊急事態宣言は解除されていたものの、都によるリバウンド防止措置もあり、限られた人数での実施ではありました。それでも、集まってくれた14団体の皆さんの熱意が、広い会場を隅々まで埋め尽くしてくれているようでした。

藤原朋子課長
藤原朋子課長

 プログラム前半の第1部は、「地理情報システム(GIS)を防犯ボランティア活動に活用しよう!!」と題して、当サイト『大東京防犯ネットワーク』で運用中の各種マップ機能を紹介するコーナーです。参加者ひとりに1台ずつノートパソコンを用意し、実際に操作もしていただきました。講師役は、この9月から安全・安心まちづくり担当課に異動してきたばかりの櫻井繁課長代理が、“初登板”で務めました。

櫻井 繁課長代理
櫻井 繁課長代理

 今日の「つどい」で説明するのは、今年の3月に運用を開始した新しいマップ機能、「防犯活動の情報投稿マップ」。このマップは、「大東京防犯ネットワーク」に登録した防犯団体が、パソコンやスマホでその活動を写真付きで投稿し、マップ上で公開する機能で、団体の存在や活動を広く知ってもらうだけでなく、近隣団体の活動状況を把握したり、他の団体の優れた取組を参考にすることもできるのです。
 今回の講習では、仮の団体登録をし、実際に情報を投稿する体験をしていただきました。
 初めて使う機能に、はじめは戸惑い気味の方もいましたが、東京都のスタッフが一人一人の進捗状況を見ながら、必要な方にはお手伝い。そのうち入力作業にも慣れてきて、皆さん無事に所属団体のプロフィールを投稿することができました。次のステップでは、マップ上に公開された皆さんの投稿を、一緒に見ていきました。
「最初は難しいと感じるかもしれませんが、やってみると意外と簡単です。皆さんも是非活用いただき、団体の存在や活動をどんどんアピールして下さい!」
 櫻井課長代理がそう締めくくると、参加者の皆さんは大きくうなずいていました。

皆さんとても熱心です
皆さんとても熱心です
情報投稿マップ」入口画面
情報投稿マップ」入口画面
「投稿をみる」をクリックすると、投稿された情報がズラリ
「投稿をみる」をクリックすると、投稿された情報がズラリ
実際の投稿写真(「東京犬猫日和」さんの投稿より)
実際の投稿写真(「東京犬猫日和」さんの投稿より)

 続く第2部は、「うさぎママのパトロール教室」を主宰する、安全インストラクターの武田信彦さんによる講義。「市民防犯(一般市民ができる防犯)」を提唱し、全国各地で講演やワークショップを実施する講師として活動しています。  武田さんは、「皆さんの日々の活動がどんなにすごいことで、どんな効果があるのか。それを正確に伝えることが私の役目だと思います」として、防犯ボランティアという活動そのものの意義や効果を紐解いてくれました。
 武田さんが掲げる市民防犯のテーマとは、「一般市民ができる防犯とは何か」。防犯が「犯罪を防ぐ活動」であるとはいえ、警察官のように武器の携帯は許されず、法的な権限もありません。警察の防犯が「直接的防犯」とすれば、一般市民が取り組む防犯は「間接的防犯」であるとのこと。それでは、市民による防犯ボランティア活動では何を主眼に、どのように実施すべきなのか――。武田さんは、その枠組みと方向性を、明確に示してくれます。
 武田さんは、一般市民が行う防犯が目指すこととは「犯罪が起きにくい環境づくり」や「助け合いの環境づくり」だと強調します。とくに、子どもや女性を狙う犯罪は、「周りに誰もいない瞬間(空白地帯)」での発生が多いため、「地域に多くの人が関わること」が効果的な防犯対策につながります。それには、カラフルなウエアを着た防犯ボランティアが街角に立っているだけで効果的。地域や人々に関心を向ける人たちの存在は、犯罪原因を抱える人が最も嫌がるもので、犯罪行為が発生しにくくなる環境作りにつながるわけです。
「市民防犯における最強のツールが何かといえば、“笑顔と挨拶の見守り”です。それは、安全安心とともに、人々の絆をも育みます。皆さんの活動は多くの素晴らしい効果を生み出すものですから、今後も無理をせず、自信をもって、ご自身の健康に気配りしつつ継続していただければと思います」

武田信彦さん
武田信彦さん

 防犯ボランティア活動をしている方たちの意見で多いのが、「ほかのグループでは、どのような活動をしているのかを知りたい」です。それは、他団体からヒントをもらって参考にすることで、自分たちの日々の活動をよりよいものにしていこうという強い意思の表れでもあります。そこで武田さんは、インタビュー形式で各参加者に自己紹介や活動紹介、さらに、「継続のコツ」や「やりがい」をテーマに意見を聞いてみることにしました。
 今回、参加しているのは、地域の有志による各種団体をはじめ、町内会やPTA、マンション管理組合などとさまざまです。それぞれの立場で、実際に日々の活動をしている人ならではの体験談が続々と聞かれました。

「大阪・池田小学校の事件があってからすぐに登校見守りのグループを立ち上げました。地元の桜野小学校は校区が広く、片道20分ぐらいかけて登校している子もいます。そこで私たちも、1丁目に住んでいる人は1丁目で、2丁目に住んでいる人は2丁目でという形で分担して、それぞれの場所で見守りをしています。目立つ服装をしているせいで市民の方も声をかけやすいらしく、通学路にハチが出たと相談されたこともあります。それはすぐ役所に連絡して対処してもらいましたが、そうして地域の方に頼ってもらえることも、やりがいになっています」(さくらの防犯パトロール隊)

さくらの防犯パトロール隊
さくらの防犯パトロール隊

 「ワンワンパトロールを始めて10年になります。こうしたボランティア団体での問題のひとつにメンバーの高齢化がありますが、犬も高齢化します。そこで私たちも、常に新しいメンバーに入ってもらえるよう意識して活動しています。みんなで集まって行うパトロールの際には腕章をつけ、幟も立てて地域の皆さんへのアピールを欠かしません」(武蔵野ワンワンパトロール隊/けやき並木わんパト会)

武蔵野ワンワンパトロール隊/けやき並木わんパト会
武蔵野ワンワンパトロール隊/けやき並木わんパト会

 「私たちの守備範囲は南北3kmほど。そこを4つのブロックに分けて、それぞれ別の曜日に活動しています。昼間の時間帯は市のシルバー人材が担当しているので、私たちは主に夜間のパトロールを行います。新しいメンバーを募集するときの謳い文句は、『美容にいいですよ』。1回のパトロールで6000歩ほど歩くので運動になるし、運動すれば夜もよく眠れるから健康にいいんです」(西東京市第3区町会自主防災防犯会)

西東京市第3区町会自主防災防犯会
西東京市第3区町会自主防災防犯会

 などなど、さまざまな声がありました。「これからの季節は落ち葉で足を滑らせることが多くなるので注意している」との声もあり、これなどはまさに日々の実践を長年積み重ねた方ならではの言葉でした。
 そんな活動を継続するためのポイントは、総じて「無理をしない」ということ。そして、「強制にならないように、なるべく自由参加で」という点も重要のようです。これは、高齢のメンバーが多いことへの配慮でもあります。
 やりがいの面では、なんといっても「地域の方々と交流できること」。たとえば小学校の登校見守りをしている団体の場合には、子供たちと挨拶をしているうちに顔見知りになり、6年間の成長を見守ることができること。ときには感謝の手紙をもらえたり、卒業後に街で声をかけてもらえたり……ということもあるそうです。
 防犯ボランティアはその名のとおり、犯罪の発生を防ぐために活動する市民団体です。しかし、その実は「人と人とをつなぐ」という、とても大切な役割を果たしている団体なのかもしれません。



【取材日:令和3年10月10日】