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令和2年度「防犯ボランティアのつどい」を開催しました。

 令和2年12月5日(土)、大井町駅前に所在する「品川区立総合区民会館きゅりあん」において、令和2年度「防犯ボランティアのつどい」が開催されました。今回のつどいには、日頃から防犯ボランティア活動に取り組んでいる14団体22名が参加し、防犯ボランティア活動への地理情報システムの活用方法や、防犯ボランティア活動がもたらす効果とその可能性について学んでいただきました。

防犯ボランティアのつどい

 冒頭、東京都都民安全推進本部 総合推進部 松井峰夫 安全・安心まちづくり担当課長より「今年は新型コロナウィルスの影響により、防犯ボランティアの皆さんに向けたイベントは久しぶりの開催です。本来なら100名弱の方が入れるこの会場ですが、新型コロナウイルス感染防止に万全を期すため、今回は参加人数を抑えて座席間隔を空けるなど、感染防止対策をしっかり講じたうえで開催をさせていただきます。皆様の御理解と御協力をお願いいたします。」と挨拶して開会しました。

 プログラムの第一部は、参加者が卓上に設置されたパソコンを使用しての実践的講義。東京都都民安全推進本部で運営している防犯ボランティア応援サイト「大東京防犯ネットワーク」(本サイト)の活用方法を同本部の都民安全推進課の不破野課長代理が紹介し、参加者には説明を聞きながら、目の前のパソコンを自ら操作して大東京防犯ネットワークを体験していただきました。

防犯ポータルサイト「大東京防犯ネットワーク」トップ画面
防犯ポータルサイト「大東京防犯ネットワーク」トップ画面

 「大東京防犯ネットワーク」では、都内各所で活動をしている防犯ボランティア団体を紹介しており、これまでに紹介した団体は取材当日現在で122団体にのぼります。また、子供の見守りを中心に活動している団体を紹介する「子供見守り活動事例集」を閲覧できるページも開設しています。同事例集は平成23年度から毎年発行されており、これまで掲載した団体は延べ80団体にのぼります。
「他団体の活動の様子や内容を知りたい時、参考にしたい時に、このサイトを活用していただければ、きっと参考となる団体や情報が見つかると思います。」と不破野課長代理。
 同サイトでは、東京都からの防犯に関する情報発信も行っており、都内で防犯ボランティア活動をしている方にとっては有益な情報が得られるサイトとなります。
 次に不破野課長代理が説明してくれたのは、同サイト内で展開されている地理情報システムを活用した「防犯情報マップ」。同コンテンツ内には6つのマップがあり、それぞれのマップで異なる情報を確認することができます。

防犯情報マップに関する講義の様子
防犯情報マップに関する講義の様子

 今回、不破野課長代理が説明してくれたのは、そのうちの子供の安全マップ特殊詐欺情報マップ町丁字別犯罪情報マップの3つ。
 子供の安全マップでは13歳未満の子供に対する不審な声掛けや交通事故の発生状況を調べることができ、特殊詐欺情報マップでは区市町村別と警察署別の特殊詐欺の発生状況とアポ電(犯行予兆電話)の件数を、町丁字別犯罪情報マップでは地域ごとの罪種別犯罪発生件数を確認することができます。
 不破野課長代理は「こういった地図上で確認できる犯罪等の発生状況を、皆さんの防犯パトロールに活用するのも効果的な方法です。」と参加者に呼びかけました。
 参加者の方も説明を受けながら、目の前のパソコンを操作し、思い思いの場所の犯罪等の発生状況を確認していました。

都内における犯罪の発生状況が一目で分かります
都内における犯罪の発生状況が一目で分かります
特殊詐欺情報マップの画面(上が区市町村別特殊詐欺発生状況、下が同アポ電入電状況)
特殊詐欺情報マップの画面(上が区市町村別特殊詐欺発生状況、下が同アポ電入電状況)
特殊詐欺情報マップの画面
(上が区市町村別特殊詐欺発生状況、下が同アポ電入電状況)

 プログラムの第二部は、「うさぎママのパトロール教室」を主宰する安全インストラクター武田信彦さんによる講義。大学生だった平成9年、都内の繁華街でパトロールを行うNPOの活動に参加したことが「市民防犯との出会い」だったという武田さんの講義は、まさに“現場の声”そのものです。
「当時は『防犯ボランティア』という分野が確立していなかったため、現場でも市民による防犯活動への理解が得られないことが多く、苦労することがありました。でも、その経験を重ねたことから『市民防犯とは何か』を深く考えるようになり、それが私の人生の大きなテーマとなりました。」
 武田さんが語る「市民防犯」とは、「一般市民ができる防犯」のこと。犯罪や非行と対峙し戦うような活動ではなく、見守りや助け合いの輪を広げて「犯罪が起きにくい環境をつくる」ことを目指す防犯です。
「市民の範囲でできる防犯を心得ておくことが大切。防犯は善意の活動だからと、一線を越えてしまえばルール違反にもなり兼ねない。自分や仲間たちを守るためにも、できること、できないことをしっかり確認しておいてください。」

 武田さんはさらに、小学生など子供たちを対象にした登下校の見守りについても、「一線」を画しておくべきだと言います。その際のポイントは、「過度に接触しない」「飲食物をあげない」「私有地や車に入れない(保護する場合を除く)」の3点。
「地域の子供たちと顔見知りになる、健全な声かけをすることは安全確保や子供たちの成長のためにも重要なことです。とはいえ、やはり節度や限度があるべき。子供たちや保護者へ誤解や不安を与えないよう配慮することは、ますます必要になっています。」

 では、防犯活動にとって最も大切なことは何か。それは「挨拶」である――と、武田さんは明快に断言します。 「小学校の登下校の見守りでは、子供たちと挨拶。街をパトロールしたら、すれ違う人たちと挨拶。元気に挨拶しつつ街を見守ることこそが、市民防犯ができる最強の防犯です。」
「地域に関わる人がいる、人の目があることは、犯罪が発生しにくい環境を生み出していきます。とくに、人の目のない空白の状況で発生しやすい犯罪に対しては、カラフルなデザインの帽子やベストを着用して活動している人の存在が防止する力となり得ます。すなわち、『周囲から見られること』を意識することが防犯活動のコツといえます。」

 大人向けや子供向けなど、さまざまなテーマで安全教室や講演を開いている武田さん。このところ、受講する方々に変化があるのだそうです。
「防犯ボランティア向けのセミナーに、大学生や高校生、専門学校生、そして中学生が参加してくれるようになりました。とくに中学生といえば、本来なら“見守られる側”のはずです。それが“見守る立場”になってくれようとしています。学生のみなさんが地域防犯に関われるようになったのは、“見守られている”環境があったからです。本日参加されているボランティアのみなさんが、長年見守り活動を続けてきたことで道筋を作ってこられました。そして、頼れる大人たちの背中を見てきた子供たちは見守りや助け合いの大切さを受け継いでいるのです。笑顔や挨拶の種まきは、確実に花開いてきています。これからもぜひ、素晴らしい活動を続けてください!」
 武田さんのこのメッセージは、参加者の皆さんに深く刻まれたことでしょう。

うさぎママのパトロール教室主宰 安全インストラクター 武田 信彦 さん
うさぎママのパトロール教室主宰 安全インストラクター
武田 信彦 さん

 講義の締めくくりには、参加者間の情報交換が行われました。
 事前に配布された参加団体の活動内容等が記載された資料を元に、武田さんが参加者に話を振ります。
 何組かの団体の方が、活動の内容や、今後の展開、あるいは活動を長く続けるコツなどについて発表してくれました。発表者の意見に参加者の方も真剣に耳を傾けます。

活動の内容等を発表する 参加者 パトラン東京 渡部信隆 さん
活動の内容等を発表する 参加者 パトラン東京 渡部信隆 さん

 今回のつどいに参加した、ボランティア活動を始めたばかりの八田亜紀子さんに感想を聞いてみました。
「犬を散歩させる時間と、近所の小学校の下校時刻がちょうど重なっていることが、活動を始めたきっかけです。どうせ毎日歩くのだから、そのついでに何かできないものか……というのが発想の源でした。でも、まったくの知識ゼロで始めてしまったので、防犯パトロールといっても何をどうすればいいのかが正直わからず、ちょっと迷っていました。今日のつどいは本当に目からウロコの連続で、参考になることばかり。『街角に立っているだけで防犯になる』とわかったことも、大きな収穫でした。」
 今後は、人数を増やして組織化することも視野に入れている、と八田さん。今はまだパトロール時に着用する帽子やベストがないそうで、まずはその入手から始めたいとのことでした。
 このコロナ禍のなか、防犯ボランティアの皆さんはさまざまな工夫をしながら活動を続けてくれています。「子供たちを守りたい」「安心・安全なまちにしたい」という思いがたくさん詰まったつどいとなりました。