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助け合いつながり隊

地域 東京都国立市

 国立市の名前は、両隣の国分寺市と立川市から一文字ずつもらったのが由来。都内の市としては、狛江市に次いで2番目(全国でも4番目)に小さな自治体です。東西2.3㎞、南北3.7㎞、面積8.15㎢というコンパクトサイズに市立小学校が8校あり、そのうち国立第八小学校を中心に活躍するボランティア団体にお邪魔してみました。 写真:助け合いつながり隊

「おはようございます!」
 底冷えする2月の朝、この日は強い北風もあって体感温度は氷点下。そんななかにあっても、子供たちは活発そのもの。8時10分の開門を待たずに登校してくると、みんな元気な声で挨拶してくれます。
「学区内に、車の通行が多くて危険な交差点が何ヵ所かありまして、そこに立っての登校見守りは毎日。だいたい10人強のメンバーが参加しますが、どこかで何かがあったらすぐに駆けつけられるよう、無線機を持って活動しています。毎週金曜日だけは子供たちに顔見せをするという目的もあって、校門前での見守りも行っています」
 そう話すのは、助け合いつながり隊代表の篠原光一郎さん。オーダーメイドの紳士服店を経営する3代目で、ご自身も3人の子供たちも第八小の卒業生という、根っからの“国立っ子”です。
 やがて8時30分になり、約300名の児童が校舎に入るのを見届けると、メンバーたちはトングと袋を持って第2の活動へ。第八小からJR国立駅までの間を、清掃しながらのパトロールです。でも、そこにはちょっとした“問題”がありました。
「毎日掃除をしているので、もう拾うべきゴミがないんですよ」
 そう言って笑いながら、篠原さんは強風に飛ばされたペットボトルを追いかけます。
写真:篠原光一郎さん
篠原光一郎さん
 地元を愛する篠原さんは、第八小のPTA役員を務めた経験があり、自治会の会員だったこともあります。また、お父様が地元防犯協会の一員だった経緯もあり、自身も防犯活動に携わるようになりました。しかし、さらに発展した活動にチャレンジするため、自ら助け合いつながり隊を結成しました。
「防犯だけでなく、防災も主眼とした団体にしたいんです。だから、現在実施している登校見守りや清掃パトロールなどの防犯活動は、その先に防災というテーマを見据えているんです」
 そのため篠原さんは、第八小はもちろんのこと他校とも連絡を密にし、市役所とも協働して「いざ」というときに備えています。それは、たとえば大きな地震があって電気やガスが閉ざされ、水や食料も入手困難になってしまったようなケースを想定しているそうです。
「災害があると、この小学校が避難所になります。つまり、いつもは子供たちの授業をしているこの場所に避難所を設営しなければならないのですが、それを誰がやるのか。そのために必要な資材やノウハウの蓄積をはじめ、動きたいときにスムーズに機能できるよう、今のうちから準備しておく必要があるわけです」
 災害が起きた後には犯罪が増える。普段の防犯パトロールは、それを見越しての活動でもある――とも強調します。
 そのため篠原さんは、助け合いつながり隊とは別に「中一番組自主防災」という団体も運営しています。これは、おそらく他地域では見られることのない、かなりユニークな活動です。
写真:ゴミはほとんど落ちていません
ゴミはほとんど落ちていません
 こちらの団体が行っているのは、「困りごとの手助け」。電球の交換や、室内での箪笥の移動をしたいけれど、自分ではちょっとできない、といった「困ったこと」がある人を手伝う活動――なのですが、それだけにとどまりません。
「買い物代行でも話し相手でも、どんなことでも引き受けます。その代わり、30分500円程度のお心づけを頂戴して、その一部で防災機材を購入し地域に還元しているんです」
 こうして得たお金に加えて、寄付や会費制のコミュニティ(防災に特化した)で集めた資金で何をしているかといえば、電気の創出です。太陽光やカセットボンベによる発電機を購入し、それでつくった電気をリチウムイオン充電池に充電して各家庭に配ることで、災害時の生活維持を図ろうという試みです。
「メリットが多く、ほぼデメリットもない仕組みだと自負しています。なるべく早く完成させて、国立だけじゃなく都内や全国にも広められたら、と考えています」
 並行して、防災グッズの購入も進められており、現在では第八小に携帯用ライト150本、乾電池900本を備蓄できているそうです。
「何かが起きたときにボランティア活動をしようにも、普段から街を見ていない人にできるわけがありません。その点、私たちは毎日のパトロールで街の様子を知り、手助け活動などから各家庭の状況も知っています。大きな災害が現実になってしまったとき、この蓄積は必ず生かせるはずです」
 と、篠原さんは熱く語ってくれます。
 これらの活動には、“地元つながり”として一橋大学のボランティアサークルである「国立あかるくらぶ」も参加します。社会学部2年の岩切龍聖さんは、「コロナのせいで大学に行くことがなくなってしまい、ある意味つまらない日々を送っていました。でも、この活動に参加したことで新しい世界を知ることができ、貴重な経験になったと思っています」と言います。
 篠原さんは、新しいことにチャレンジするのが大好きで、今の活動が楽しくてしょうがないと頬をゆるめつつ、次のように締めくくってくれました。
「重要なのは、やはり人と人とのコミュニケーションです。『誰かを助けてあげる』では単なる一方通行でしかないので、そうじゃなく『それぞれが助け合う』というレベルに引き上げたい。同時に、市や学校ともいい関係を築いておいて、学校を中心としたコミュニティをつくる。そんな積み重ねを続けていけば、この地域の防犯・防災のレベルは何段階も上がるはず――。そう信じて、今後も活動していくつもりです」
 揺るぎない情熱をもった人たちの存在と、小さな街だからこそのフットワークのよさ、そして地域のコミュニケーション。それは現在、そして将来にわたる国立市の安全・安心を実現するために欠かせない、大切な要素であるようでした。
写真:岩切龍聖さん
岩切龍聖さん

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