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地域安全マップ作製

地域安全マップづくりの公開モデル授業を開催しました!

 平成26年12月5日、東京学芸大学附属竹早小学校において、子供自身の危機回避能力向上を目的とした「地域安全マップづくり」の公開モデル授業を開催しました。都は、平成18年度から毎年3校程度、都内各地の小学校で同事業に取り組み、他校の教員等にも公開することで地域安全マップづくりの普及を図ってきましたが、国立の小学校で開催したのは初めての試みです。
 同校でマップづくりに取り組んだのは4年生の78名。当日は、地域安全マップの考案者である立正大学の小宮信夫教授を講師に迎え、「危険な場所」や「安全な場所」の見分け方について1時間程度学習した後、実際にまちに出てフィールドワークを実施。学校へ戻った後マップづくりを行いました。一連の授業の様子は他校の教員や児童の保護者など多くの方々に公開し、地域安全マップづくりの趣旨や指導方法等をお伝えしました。

【小宮教授による事前学習】

写真1  小宮教授は、犯罪が起こりやすい危険な場所は「(誰もが)入りやすい」「(誰からも)見えにくい」というキーワードを使って説明。「人は騙すけれど、景色は騙さない。だから景色に着目することが重要」と述べた上で、ホワイトボードを用いてクイズを出題。道路や公園の絵を2つずつ描いて、どちらの景色が危険であるかを子供たちに質問しました。多くの子供たちが手を挙げ、「A」または「B」と答えましたが、すかさず小宮教授は「なぜ、そう考えるのか。」と再度質問し、理解を深めました。例えば、ガードレールが「設置されていない道路」と「設置されている道路」ではどちらが危険か。もちろん交通安全で考えると、ガードレールがない方が危険となりますが、防犯の視点では、車に乗った誘拐犯から声をかけられたとき、ガードレールがある道路では車のドアが開けづらく歩道へ「入りにくい」。ガードレールがない道路またはガードレールとガードレールの間であれば「入りやすい」場所と考えます。「入りやすい」場所は危険な場所と判断し、声をかけられても近づかないなどの十分な警戒が必要です。
 最近は、路上で道を尋ねられても「返事をしない、無視する」というケースが増えているようですが、こうした傾向について小宮教授は子供の社会性を育むにはマイナスと考えます。そうした子供が大人へと成長したとき、上手にコミュニケーションが取れるようになるか懸念されるので、路上で返事をしても良いかどうかは場所を見て判断すべきと話します。
 また道路の両側の家の塀が高い場所と低い場所ではどちらが危険か。塀が高い場所は、家の中の人から路上にいる自分のことが見てもらえない「見えにくい」場所ですから危険な場所と考えます。道路の両側が高い塀で続く道はトンネルのようなもので、十分な警戒が必要です。
 このほか、落書きやゴミがたくさん落ちている公園は周囲の住民の関心が低く、仮に誘拐犯が子供に接触しても気にしないため、誰からも見てもらえず「見えにくい」、また犯罪者にとっても心理的に「入りやすい」危険な場所と考えます。小宮教授がこの2つのキーワードを用いて分かりやすく説明するので、子供だけでなく、見学している大人たちも深くうなずいていました。

【フィールドワーク】

 事前学習終了後、1グループ当たり5~6人の班に分かれてフィールドワーク(まち歩き)に出発。すべての子供に班長、副班長のほか、地図係、写真係などの役割が与えられます。各班には小宮教授や小宮ゼミの学生が帯同し、事前学習で教わった「危険な場所」や「安全な場所」についてキーワードを用いながら探します。
 小宮教授が帯同した班では、「入りやすく、見えにくい」危険と思われる場所で、不審者役が登場するサプライズを試みました。まず小宮教授が指導の途中、電話がかかってきたフリをして子供たちから離れます。そこへ不審者役の女子学生が現れ「学校の先生が呼んでいるから一緒に来て」と連れ出そうとします。小宮教授によると、子供への犯罪の多くには「騙し」が使われる。子供が進んで犯罪者についていくので、周りの大人も気に留めないとのことです。
写真2  ここでは、遠目に見ていた担任の先生の存在を子供らも知っていたので、騙されて連れ出されることはありませんでした。しかし、別の場所では小宮教授が人目のない大きな倉庫裏のスペースへ向け、「可愛いネコがいるよ。」と走り出すと、子供たちもすっかり騙されてついていきました。
 事前学習では、「君たちは100%騙される」と小宮教授に言われ、「そんなことはない。僕たちは騙されない」と話していた子供たちでしたが、コロっと騙されてしまいました。しかし、一度騙される体験をしたことで、騙されないための心積もりができました。
写真3  また、坂道沿いにある家は、高低差のため家の中から道路の景色が見えづらくなります。子供は背が低いため、特に見てもらえません。したがって、長い坂道を歩くときは家の中から見てもらえないことを考え、十分に気を付けるよう小宮教授から話がありました。
 実際に、坂道沿いの家の前に立ってみて、子供たちも実感したようです。こうした体験学習は、頭で考えるよりも効果的で、理解が進みやすいと思われます。
 フィールドワークでは、まちの中で発見した「危険な場所」や「安全な場所」を写真に撮り、マップづくりに使用します。撮影時に、子供たちは歩行者等へのプライバシー配慮についても学びます。

【マップづくり】

写真4  フィールドワークから戻り、ランチルームで班ごとにマップづくりに取り組みました。ここでも小宮ゼミの学生からアドバイスを受けます。精緻な地図づくりが目的ではないため、フリーハンドで歩いた地域のおおまかな地図を描きます。
 そして、「地域安全マップ ○班」と、色紙やマジックを用いて楽しくデザインしていきます。その後、プリントアウトされた写真を見て、どの景色をマップに貼るか検討します。
 写真は景色を再現するもので、とても重要です。現地で安全・危険と考えた理由を思い出しながら、使用する写真を選びます。そして最も重要なことは、選んだ写真ごとに、安全又は危険と考えた理由をふせんに書くこと。この過程で「景色解読力」が定着します。この景色解読力こそが危険の予測、回避に役立ちます。ふせんに書くコメントには、①どういう場所なのか、道路なのか公園なのかなどを明記します。そして「入りやすい」「見えにくい」という2つのキーワードを用いながら、その場所の特性を書きます。その上で「安全」「危険」と結論付けます。
 はじめは子供が鉛筆書きでメモを書き、小宮ゼミの学生から助言を受けた後に色紙に清書して模造紙に貼っていきます。こうして班員全員で役割分担しながら、デザインや色使いを工夫して楽しくマップづくりを進めます。
写真5

【教員・保護者向け講義】

 ランチルームで子供たちがマップづくりをしている間、教員や保護者には小宮教授から地域安全マップづくりの理論や指導方法等についての講義を受けていただきました。
 小宮教授は、子供が襲われないためには「リスクマネジメント」が重要。子供たちが自らまちの危険な場所を察知する景色解読力を磨くことで危機回避能力は高められる、と地域安全マップの重要性を力説されました。また宮崎勤事件など子供が実際に被害に遭った事件の犯罪現場について写真を示しながら、心理的に又は物理的に「入りやすい」「見えにくい」景色の説明がなされました。

【発表】

写真6  当日は、延べ14班が地域安全マップづくりに取り組み、時間内にマップを完成させました。その後、すべての班が順番に「入りやすい」「見えにくい」というキーワードを使って、道路や公園、駐車場等の安全・危険について発表しました。
 発表の仕方は班ごとに工夫し、多くの班で複数の子供がマップづくりを通して感じたこと、分かったことなどを話しました。
 学校周辺には坂道が多く、こうした場所は普通に歩いていても、家の中からは見えにくくなるので危険がいっぱい。注意が必要と話していました。

【まとめ】

写真7  すべての班が発表された後、小宮教授から子供たちへ大事な話がされました。それは、こうして危険な場所があらかじめ分かったとして、実際に生活する上で、どのようにすればよいかという「三原則」です。
「危ない場所には近づかない」
「危ない場所には一人で行かない」
「危ない場所に一人で行かなければならないときは十分気をつける」
 そして小宮教授は、突然子供たちのつくったマップをこれから破ると言い出しました。そもそもマップをつくるのは目的ではありません。子供たちに景色解読力が身につけば、マップはもう不要なのです。当然、子供たちからは「キャー、やめて」という声が次々と発せられました。すると小宮教授は「マップを破かれてしまうと思い、みなさんは辛い思いがしましたよね。一瞬にして、そういう状態になることをわかってもらいたくて、わざと言いました。みなさんは今日一日をかけてマップをつくりましたが、(マップそのものは)一瞬で壊れてしまうものです。これは安全についても同じことが言えます。安全を守るにはとても手間がかかります。しかし、(安全は)一瞬で壊れてしまいます。そうならないように、みんなで力を合わせて安全なまちを守っていきましょう。」と締めくくりました。
 見学された先生からは、「実際の指導場面を見ることで、指導の流れを具体的に理解することができた。」「地図づくりが目的ではなく、景色解読力を身に付けることの大切さを学んだ。」という声が聞かれました。

作成した地図を紹介します!

 マップづくりに要した時間は、およそ2時間。色紙やマジックでデザインしつつ、楽しく、それでいながら、写真と身に付けた景色解読力を生かしたコメントをセットにして、場所ごとに安全や危険の解説が加えられています。午前中から取り組んだ地域安全マップづくりの成果が着実に子供たちへ浸透していることが伝わってきます。
地域安全マップ1
地域安全マップ2
地域安全マップ3
地域安全マップ4
地域安全マップ5
地域安全マップ6
地域安全マップ7
地域安全マップ8
地域安全マップ9
地域安全マップ10
地域安全マップ11
地域安全マップ12
地域安全マップ13
地域安全マップ14

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