調布市富士見町は、味の素スタジアムや調布飛行場にほど近い場所にある住宅街。南に向かって少し歩けば多摩川の流れに触れることができる、自然豊かな街でもあります。令和6年11月12日、そんな富士見町で活動するさまざまなボランティア団体の皆さんが多数参加して、大規模な合同防犯パトロールが行われました。
~『自分たちで調布を守ろう』という思い~
発起人は、富士見町のほぼ中心に位置する調布市立石原小学校の登下校見守りなどの活動をしている「ふじみパトロール隊」の隊長である三浦信一さん。まずは、この合同防犯パトロールについて聞いてみました。
「この地区には、私たちのパトロール隊以外に、いろんなボランティア団体があります。それぞれの立場や方針は異なるのでしょうが、自分たちで調布を守ろうという思いはひとつ。だったら、同じ気持ちをもつ人たちが集まって、一緒に何かをやったらいいじゃないかと考えて、皆さんに声をかけたんです」
三浦さんがボランティア活動を始めたのは、今から25年前のこと。当時の石原小学校校長に「朝、子供たちの見守りをしていただけませんか?」と頼まれたのがきっかけだそうです。以来、三浦さんは一日も欠かすことなく、奥さんを伴って正門前に立ち続けました。
~23団体が一堂に集結~
この合同防犯パトロールのスタートは、「5年か6年ぐらい前だったかな。よく覚えてないんです」と三浦さんは笑いますが、始めてからは年4回のペースで継続しています。以前まではタバコの吸い殻を清掃する活動をメインに行っていたそうですが、みんながせっかく集まるのであれば、防犯の啓発も一緒にやった方が良いという三浦さんの発案で現在のようなパトロール体制になったとのこと。そんな三浦さんについて、調布市役所防犯対策担当係長の竹田正憲さんは次のように話します。
「今日は、23もの団体から参加がありました。ひと口に23団体といっても、そう簡単に集まれるものではありません。調布市はもともと防犯意識の高い市民が多く、こういった集まりにも積極的に参加してくれる人が少なくないのですが、これだけの数がそろうのはひとえに三浦さんのおかげ。いつも先頭に立って旗を振ってくれることに、本当に感謝しています」
このことを本人に聞いてみると、「25年もやってきたので、少しは周りの人に信頼してもらえたっていうだけのことじゃないですか?」と、三浦さんはまた笑い飛ばします。
~多様な活動主体の方がパトロールに参加~
23団体の内訳は、石原小学校・調布中学校・富士見町自治連合会・わんわんパトロール隊・有志のパトロール隊の方々など、多様な活動主体の方々。ちなみに、石原小学校の「おやじの会」は、その名を「石原軍団」といいます。なんだか、勇壮なテーマ曲が流れてきそうですが、メンバーさんたちはもちろん優しいパパたちばかりだそうです。
この日の合同防犯パトロールは、夕方4時から。その時刻が近づくと、集合場所の公園には次々と参加者が集まってきます。そしてスタート時刻になると、警察署と市役所からの防犯パトロールや防犯対策等の説明があった後、皆さんは4方向に分かれてパトロールに向かっていきました。その中には、いったん帰宅してランドセルを置いてきた、石原小学校の児童も含まれていました。
~子供たちの安全を守る大きな力~
石原小学校の現校長・飯島慶裕さんもパトロールに参加しつつ、こうした活動についての感想を話してくれます。
「朝夕の見守りでは、通学路のなかで危ないと思われる交差点などに何人もの方が立ってくださっています。そういった毎日の活動をはじめ、この地域には子供たちのことを本当によく考え、優しく見守ってくださる住民の方が多いことに、とても心強く思っています。とはいえ三浦さんもご高齢ですので、お体に気をつけて活動してほしいと願っています」
三浦さんは、現在86歳。ご本人にお聞きすると、「まだまだ動けるので、動くかぎりは続けますよ」と、またまた元気に笑い飛ばしてくれました。豪快に笑う三浦さんのような、こうした地域の温かい支えが、子供たちの安全を守る大きな力となっているのです。
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