北区赤羽は、東京23区北部における交通と商業の中心地。90年代に工事が進められて完全に高架化されたJRの駅が8番線まで走っており、在来線に加えて新幹線も並走していることから、より大規模な施設に感じられます。取材当日の午前10時は、すでに朝のラッシュアワーは過ぎていたものの、スーパーマーケットの開店に合わせて買い物に訪れた女性など、多くの人通りがありました。
~防犯対策キャンペーンは月1回以上~
令和6年10月17日に行われた防犯対策キャンペーンは、数年前から断続的に続けられてきたものですが、今年になってからは月1回以上のペースで行われています。今回は、全国地域安全運動(10月11日~20日)の期間に合わせて、道行く人々に向けて犯罪への注意喚起をするためのチラシ配布と、駐輪中の自転車へのタグ取り付けを行いました。参加したのは赤羽警察署、赤羽防犯協会、北区、そして企業から明治安田生命の方々です。
~注意喚起のチラシを一人ひとりに手渡し~
このキャンペーンを主催した赤羽警察署員に少しお話をお聞きしてみると、近辺で目立つ犯罪は自転車盗と痴漢(※特に電車内)であり、加えて特殊詐欺も多く発生しているとのこと。中でも自転車盗が増加していた時期があったそうで、ここで驚くのは、盗難被害にあった自転車の約6割が未施錠だったそうです。たとえば自宅の前などに置いていたのを盗まれた、というケースが多いとのことでした。
赤羽駅前を道行く人に対して「変な電話がかかってきていませんか」「自転車には鍵をかけてくださいね」などと呼びかけながら、一人ひとりにチラシを配布しながら丁寧に昨今の犯罪への被害防止対策を説明していました。
~すべての自転車に「盗難対策中」のタグを取り付け~
駅前でのチラシ配布の後は、高架下にある「ビーンズ駐輪場」へと移動して、自転車のハンドルにタグを取り付けていきます。このタグは自転車盗の増加に歯止めをかけるべく、北区と区内3警察署(赤羽警察署、王子警察署、滝野川警察署)によって作成されたもので、目立つ黄色に「盗難対策中」と明記されています。タグを取り付ける作業そのものは簡単そうですが、問題はその数。こちらの駐輪場は地域最大で、収容台数なんと1000台以上という広大さなのです。
それも参加者全員で手分けして作業を進め、スムーズにすべての自転車への取り付けを終えることができました。それもそのはず、タグの取り付け作業は日々の防犯対策の一環としても行われているため、参加者の皆さんは慣れた手つきで次々と自転車への取り付けておりました。このタグ効果もあって、自転車盗の発生は少しずつ減少しており、今はずいぶん改善されたそうです。
~企業(明治安田生命)からも防犯キャンペーンに参加~
ところで、参加者の中にふたりの女性が目立っています。特殊詐欺アドバイザーとして警視庁と連携して被害防止に取り組んでいる明治安田生命の担当者です。この業務を担当してから様々な防犯キャンペーンにも参加するようになって、昨今の犯罪状況を知ったという藤野(ふじの)さんは、
「もともと特殊詐欺という言葉自体は知っていましたが、今も現在進行形で多くの事件が起きているということは知らなかったので、警察の方に教えてもらったときには驚きました。お年寄りは皆さん優しいので、つい騙されてしまうのだろうと思います。そんな優しい方々の大切な財産を騙し取る卑劣な犯罪は、絶対になくしたいです」とのこと。
続けて、推津(すいつ)さんからは、「さまざまな防犯イベントに参加して、詐欺の方法がどんどん複雑になっていることが分かりました。また、ご近所の方の交流が以前より薄まっていることもあって、防犯対策を家族や友だちと共有することも重要だと感じたので、まずは私から家族に紹介しました。これからも犯罪防止に少しでも役に立ちたいです」と、犯罪防止への想いを笑顔で語ってくれました。
この2名に限らず、この日の活動に参加していた20名以上の方はそれぞれ所属や立場が異なります。それでも、防犯活動に対する思いはひとつにまとまっておりました。
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