城南信用金庫(本社・品川区)はこのたび、業務中の従業員が子供の見守りを行う新たな取組をスタート。令和4年4月27日に、同信金の六郷支店(大田区)において、「城南信用金庫こども見守り隊結成・出発式」を開催しました。
テーマは「交通安全」と「防犯」の2点です。
これは、東京都が推進している“ながら見守り”の流れにも沿った活動で、バイクや自転車で移動中の営業マンが「仕事をしながら/パトロールを兼ねる」というもの。地元の蒲田警察署および蒲田防犯協会とも連携しています。
では、同信金はなぜこのような活動を始めたのでしょうか。式典で挨拶に立った理事長の川本恭治さんは、次のように説明しました。
「私どもは地域の一員、地域の金融機関として、できるだけ地域の皆様のお役に立ちたいと思っています。蒲田警察署の方々とも、従前より親しくさせていただいていて、様々な活動をしてまいりました。そのような中、昨今はお子さんを巡るトラブルや犯罪が大変増えているとお聞きして、何かご協力できることはないだろうかと検討していたところ、“ながら見守り”という活動があることを知りました。そこで私たちも、これはぜひやりたいと思うに至り、今日のスタートを迎えることになったのです」
同信金は、予ねてより、子供たちが身の危険を感じたときや、犯罪等の被害に遭遇又は遭いそうになったときに、駆け込むことができる、いわゆる「子供110番の家」活動に協力するなど、地元の子供たちの安全・安心のために積極的に取り組んできましたが、子供に対する犯罪や不審な声掛けなどが後を絶たない現状を踏まえ、新たな取組をスタートすることとなりました。
新たにスタートする「こども見守り隊」には、蒲田警察署管内4支店(六郷・蒲田・蒲田本町・羽田)の、いわゆる得意先回りのために所有している営業用車両合計約50台が参加。これらが毎日、エリア内を隅々まで走るのですから、その“見守り”の効果は絶大。活動をアピールするため、荷台のリアボックスには「こども見守り中」と記載されたステッカーも貼られました。
活動を共にする蒲田警察署の皆さんについて、川本さんは「アイデアマン揃い」と評します。これまでにも、店内のATM脇に特殊詐欺を予防するための等身大パネルを設置するなど、さまざまな工夫と実践を重ねてきたそうですが、六郷支店のATMにも画期的なアイテムが“配備”されていました。それは、「STOP 携帯電話」と大きく書かれたフロアマットです。
犯人の語り口から「オレオレ詐欺」と呼ばれた特殊詐欺も年を経るごとに形を変え、大胆さと巧妙さがエスカレートする一方。当初は、家庭の固定電話にかかってくるのが大半でしたが、今では携帯電話を使わせる手口も横行しています。そして通話しながらATMを操作させて金銭を騙し取るのが常套手段ですが、この卑劣な犯罪に「待った!」をかける最後の砦がこのフロアマットというわけです。
一方、蒲田警察署では「こどもにこにこプロジェクト2022」というキャンペーンを実施中。同署生活安全課長の東浦幸生さんは、その狙いをこう話します。
「これは文字通り、みんなで子供の安全をキープしようよ、という活動です。しかし、それを進めるためには警察の力だけでは限界があり、地域の住民や企業の方々のご協力が不可欠。どなたかにお願いできないものだろうか……と思案していたところ、城南信用金庫さんが快く引き受けてくださって、今回このような形で『こども見守り隊』が発足できることになったのです。もちろん子供たちだけではなく蒲田という街全体の安心・安全のため、今後も地元の皆さんと協力しながら活動していきたいと思っています」
この日の天気予報は雨。出発式の開催も危ぶまれていましたが、実際には晴れ間がのぞく天気となりました。そんな明るい陽射しのなか、『こども見守り隊』の皆さんは愛車にまたがり、颯爽と街へ繰り出していきます。その後ろ姿が、とても力強く見えました。
【取材日:令和4年4月27日】 |
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