第二弾 旭町二丁目町内会(町田市)
GIS(地理情報システム)を活用した防犯情報マップの運用開始から、約1年(平成28年10月スタート)が経ちました。毎月、防犯情報が更新されていますが、それがどのように皆さんの活動にリンクし、地域の防犯に生かされているのかはまだまだ未知数。
そこで今回は、今までこの防犯情報マップを見たことがなかった方たちに実際に防犯情報マップの操作方法を体験してもらい、「自分たちの地域と活動にとって、どんなメリットがありそうか」を感じ取っていただきました。さまざまな感想に、マップの運営スタッフもうなずくことばかり――の1日になりました(取材日:平成29年11月8日)。
団体の紹介
旭町二丁目町内会は、「パトロール・環境浄化・花壇造り」の3つを柱として、活発な活動をしているグループ。さまざまな催しを行うことで会員間の連携もスムーズで、いわば「とっても仲よし」な皆さんです。
特に熱心なのが、花壇造り。エリア内に3ヵ所ある花壇を定期的に手入れしており、やがてコンクールで最優秀賞を獲得するほどに。
残念ながら、取材日には可憐な花の姿を見ることができませんでしたが、満開の時期は見ごたえたっぷり。その一端は、同町会の活動を紹介した
こちらの記事でもご覧になれます。
普段の活動
スケジュールを決めて、みんなで集合して行う活動も活発。それとともに、こちらの特徴は「ながら活動」というスタイルにあります。それはたとえば、「老人会が実施する映画鑑賞会にパトロール用のジャケットを着て、トングとゴミ袋を持って掃除しながら行き帰りする」といった習慣が徹底していること。そうして黄色いジャケットを目立たせることで、一石二鳥にも三鳥にもなる効果を生み出しているというわけです。
その積み重ねもあって、以前は多かったという路上のポイ捨てゴミも、今ではほとんど見られなくなりました。もちろん、「ゴミのない綺麗な街づくり」は、犯罪の起きにくい街づくりに結びついています。
防犯情報マップの閲覧に挑戦!
掃除がひと息ついたところで、本題です。
話をお聞きすると、高齢者が多いこちらのメンバーの皆さんも、ほとんどの人がスマートフォンをお持ちです。使用の用途は、電話・メール・ニュース記事や動画の閲覧と、かなり使い込んでおられる様子。さっそく防犯情報マップを開いて、機能を体験していただきました。
木藤克子(きとう・かつこ)さんは80歳。マップを見て開口一番、「うわ! このへんだけで特殊詐欺被害が84件もあるなんて!」と驚きの声を上げました。
「いつも警察の方に町会に来ていただいてお話を聞き、町田の犯罪件数が多いことは知っていました。でも、このマップはどんな事件が起きたか色分けしてあるし、地図なので場所もわかって見やすいですね。閲覧するのも難しくないです」との感想でした。
72歳の鮎川常夫(あゆかわ・つねお)さんは、スマートフォン歴2年半。
「小さい文字で見にくいかと思いましたが、そんなことはないですね。市からのメールで防犯に加えて防災(台風の際の避難情報など)を入手していますが、こちらは事件・事故に特化した細かいデータなのでありがたいです」と第一声。そして、次のように続けてくれました。
「今まさに、町田の隣の座間で起きた連続殺人事件がニュースになっています。同じようなことが町田で起きないともかぎらないので私も注目していますが、会員の防犯意識を高めるためにも、このマップをぜひ役立てたいと思います」
さらなる周知のために
旭町二丁目町内会会長の中一登(なか・かずと)さんは、プリントアウトされた防犯情報マップを見て、早くも「次なる展開」に思いをはせたようです。
「何らかの犯罪を起こす、あるいは起こそうとしている人なら、このデータを見るでしょうね。私たちも、そういうつもりで対策を考えるべきかもしれません」
そう危惧しつつ、防犯情報マップを周知するためのアイデアも披露してくれます。
「スマホやパソコンを使えない高齢者は少なくありません。そういった人たちのためにも、回覧板や掲示板を使った告知をしていくことが大事だと思います」
防犯にとって大切なのは、住民一人ひとりの意識向上。そのためにも、地域への告知を重ねていくことが重要――。そんなことを教えていただけたようでした。