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 PSI(ピース&セーフティー池上)池上自主防犯パトロール隊

地域 東京都大田区

 蒲田駅と五反田駅をつないで、3両編成の電車がトコトコと住宅街を抜けていく東急池上線。その名称の由来となった池上駅は蒲田駅から2駅目に位置し、日蓮宗の大本山・池上本門寺を中心とする門前町です。そんな静かな街で活動している皆さんが、「雨の日も雪の日も、一年を通じてほぼ毎日行っている」という、小学生の登校見守り活動に密着してみました。 写真:PSI(ピース&セーフティー池上)池上自主防犯パトロール隊のみなさん
≪子供の見守りに密着≫
 見守る対象は、大田区立池上小学校の子供たち。PSI(ピース&セーフティー池上)池上自主防犯パトロール隊のメンバーたちは、校舎から少し離れた交差点の四隅に立って、学校へと向かう子供たちの安全を見届けます。この場所を選んだ理由をPSI代表の吉崎道子さんに尋ねると、

「ここは大通りの抜け道になっていて、朝の間は車の通行がすごく多いからです」

と明快な回答でした。その言葉どおり、交差点を西側から東側へと抜ける車両が途切れないなか、一度の青信号で多いときに20人ぐらいの子供たちが横断歩道を渡るのです。
 この日は雨模様のなか、メンバーはそれぞれ阿吽の呼吸で旗を振り分けて、車両を停止させつつ、子供たちを安全に横断歩道を渡らせていました。同時に、「おはようございまーす!」「気を付けて行ってらっしゃい!」との挨拶の声も響き渡ります。
写真:旗を振る息もピッタリ
旗を振る息もピッタリ
 登校時間が過ぎ、子供たちの波が途切れて小学校からチャイムが聞こえてくると、見守り活動は無事に終了。メンバーたちも解散して帰宅……となるはずですが、ひとりのメンバーさんが持ち場を離れようとしません。理由を尋ねてみると、「よく遅刻する子がいるんですが、その子がまだ来てないんです。ちょっと気になるので、もう少し待ってみます」と答えてくれます。
 すると、隣で聞いていた別のメンバーさんたちが「ああ、あの子ね、たしかにまだ今日は見てないね」と目を細めます。こうしたきめ細かい配慮と優しいまなざしが、こちらのグループの真骨頂なのかもしれません。
写真:みんな元気に挨拶してくれます
みんな元気に挨拶してくれます
≪活動を始めた経緯≫
 吉崎さんが防犯パトロール活動を始めようと思い立ったのは、平成15年のこと。「近所で、泥棒やひったくりなどの事件が増えたように感じていたから」だそうですが、実はその前年の平成14年は都内の犯罪認知件数が戦後最悪だった年。

「池上は静かな門前町で、犯罪には無縁というイメージがあると思うんです。でも後になって知ったのは、繫華街である蒲田地区より池上地区のほうが犯罪が多かったというデータがあったとのこと。これにはビックリしました」

 つまり、平成15年時点の吉崎さんの肌感覚は正しかったのですが、いざ活動しようとすると“大きな壁”に突き当たってしまいました。行政や町会などに協力を打診したものの「自主防犯パトロールなんて何をするのかと、奇異な目で見られただけ」だったのです。
 それでも諦めなかった吉崎さんは、池上警察署や池上防犯協会に足を運びました。そこで多くのアドバイスやサポートを受けられることになり、「最初は知り合いに声をかけただけ」という4人のメンバーで活動開始にこぎ着くことに。それから22年、コツコツと活動を重ねてきた結果、今やメンバー数も約50名を数える大所帯になっています。ちなみに、「PSI(ピース&セーフティー池上)」という名称は吉崎さんのお嬢さんが命名してくれたのだそうです。
写真:吉崎道子さん
吉崎道子さん
≪活動の成果≫
 早くから青パト車両を導入するなど、先進的な活動を続けてきたPSIの皆さん。でも吉崎さんはあるとき、ふと気づきます。

「パトロールや見守り活動は、私たち大人がやればいい。でも同時に、子供たち自身の防犯意識を育てる必要があると考えるようになりました。そうすれば私たちの活動も、もっといいものになるんじゃないかと」

 その結果、小学校や池上警察署の協力を得て防犯教室を開催したり、子供たちと一緒に地域安全マップを作成したりするなど、いくつもの行事を開催することに。これらにととまらず、公園でメンバーお手製の紙芝居を見せたり餅つき大会を開いたりと、その活動は多岐にわたります。
 こうした熱心な活動の結果、PSIには内閣総理大臣賞や全国防犯大賞など、いくつもの賞が届けられることになりました。でもメンバーの皆さんは、「すべては、地道に続けてきた結果だと思っています」と、謙虚そのものです。
写真:青パトも稼働します
青パトも稼働します
≪メンバーの声≫
 メンバーに活動のやりがいや喜びを聞いてみると、皆さん口々に教えてくれます。

「もう長い付き合いだから、集まると同窓会か女子会みたい。パトロールだけじゃなくイベントごともあるから、変化があって楽しい」
「私はシングルマザーで3人の子供がいます。これまで周りの方にいろいろ助けてもらったので、少しでも恩返しできればと思ってやっています」
「子供たちの成長が見られることが一番。池上小学校を出た子の多くは、すぐ近くの大森第四中学校に上がるので、合計9年間も見ることができる。自分の孫みたいにかわいいですよ」

 真面目な声が続くなか、こんな意見も。

「町のためや子供のための活動ももちろん重要だけど、自分にとって、パトロールは運動不足解消の手段。気分転換になるし、人のためじゃなく自分のためのレクリエーションというか、地域安全というより自分安全みたいな気分でやっているところがあります」

 この「自分安全」というキーワードに爆笑しつつ、全員が大きくうなずいています。
 誰もが池上という街を守り、子供たちを守り、自分を守る。この3つは別々のものかもしれないけれど、同じひとつのものでもあるようです。
 最後に、代表の吉﨑さんは、

「これまで続けてこられたのは、メンバーの皆が文句も言わずに活動を支えてくれたからです。ボランティア活動は『自主的にやりたい』という人が集まらないとなかなか続かないものです。ぜひとも私たちに続いて新しいボランティアが増えてくれば良いなと思っています」

 と語ってくれました。
 そのやさしさに満ち溢れた眼差しで、池上の町を見守り続けているのです。
写真:活動の様子1
写真:活動の様子2
写真:活動の様子3
写真:活動の様子4

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