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本町・弥生くらぶ

地域 東京都中野区

 新宿駅から直線距離で2km弱の位置にある中野坂上。交通量の多い青梅街道と山手通りがあり、昼夜を問わず車の行き来が絶えない場所ですが、裏通りへと一歩入ってしまえば閑静な住宅街が広がります。そんな街にあるボランティア団体の、ある日の活動にお邪魔しました。 写真:「ながら見守り」出発前の証運見守り隊

 この街のボランティア団体「本町・弥生くらぶ」がいつからあるのか、メンバーの一人に尋ねたところ、
「いつだったかなあ……」
 と頭をひねり、少し困った様子。隣にいたメンバーに「30年前ぐらいだったかな?」と声をかけますが、聞かれた方も「たぶん、それぐらいです」と苦笑い。この団体は「何年の何月何日に発足」という記憶のある人がいないほど、歴史があり、自然発生的に生まれました。
 団体の顧問を務める江口済三郎さんは、元中野区議会議員(平成22年に引退するまで9期36年にわたって在任)。
 当時どうしてもボランティア活動を始めたい明確な理由がありました。 「あの頃は、都内の犯罪件数が急速に増えていた時期でした。しかし、地域住民や町会等が解決に向けて立ち上がるような動きは見られません。だったら私がやってみようということで、皆さんに声をかけてボランティア活動を始めました。」
 始めた当時集まったのは25人ほどで、結成のきっかけは防犯であったものの、最初は防犯よりも防災に力点を置いて活動していました。本町1~6丁目と弥生町1~2丁目を担当地区として、25人のメンバーを5人ずつ5つのエリアに分け、火の用心の声をかけつつ歩く夜間パトロールから始めたそうです。
写真:江口済三郎さん
江口済三郎さん
 こうして手探りで始めた活動に、後になってから「町会等が追いついてきた」と江口さんは言います。「本町・弥生くらぶ」の活動はその後周囲に波及するとともに内容も広がり、現在では防犯活動のみならず街の美化活動、さらには小学校の下校見守り活動も行っています。
 「昨今、子供の連れ去りや性的な犯罪等が目立ってきていると聞いて、何か対策をするべきだと思いました。エリア内の小学校は、登校時にはPTAやシルバー人材センターの人たちが見守り活動を行っているのですが、下校時が手薄で危険でした。そこで、私たちが見守り活動を行うことにしました。」
 時を同じくして、小学校の編成にも大きな変化がありました。平成31年、地元に古くからあった中野区立桃園小学校と中野区立向台小学校が統合されて、新たに中野区立中野第一小学校として生まれ変わったのです。
 「統合して学区が広くなり、遠くから通ってくる子どもたちが増えました。この地域の道路は幹線道路の抜け道で車両の通行があるのですが、幅が狭く、見通しの悪い十字路もあって危険です。今は木曜日か金曜日のどちらか週1回ですが、メンバーで担当を分けて見守りをしています」
写真:挨拶も元気よく
挨拶も元気よく
写真:道の真ん中は危ないよ!
道の真ん中は危ないよ!
 この30年で、街の様子はずいぶん変わったと話す江口さん。古くからの住宅が建て替えられて新しくなり、大小のマンションも増えました。特に特徴的なのは、あちこちに防犯カメラが見受けられるようになったことです。
 「中野区が各小学校の周辺に5台ずつ設置した防犯カメラや、補助金を受けて町会が付けたカメラ等さまざまですが、どこに設置するかについてはいつも私たちがアドバイスをしています。
 設置時に死角がないようにするのはもちろんですが、最も気を付けているのは住民のプライバシーの尊重です。
 防犯カメラは高所に取りつけるので、レンズの向きによっては民家を覗き込む形になってしまう。それだと住民を不安にさせてしまうので、映像では室内が黒く塗りつぶされて映らないような設定にしてあります」
写真:公園の照明にも
公園の照明にも
 こうした配慮もあり、30年前にはなかった“最新兵器”は、本来の目的を充分に発揮しています。
 さらに「本町・弥生くらぶ」では街を見守る目として、防犯カメラ以外に青パトも導入済み。江口さんの息子さんが所有する自家用車を青パト登録し、出動の際には回転灯や拡声器を取りつけて走行して町の安全を守っています。
 「小学生の下校に合わせて1時間半から2時間、特殊詐欺を注意喚起する音声を流しながら、ゆっくりとした速度で走ります。まだ導入して間もないので効果は未知数ではありますが、何か悪いことを企んでいる人がこの車を見たら、『追いかけられている』という感覚になるなど、悪事を抑止する効果を狙っています。」
 現在、グループのメンバーは48人。誰もが地元を愛し、住む人の安全を思って活動しています。
 「私は現役時代、36年間も区政を担当させてもらいました。その恩返しといいますか、少しでも区民の皆さんのお力になりたいという気持ちは今も変わりませんので、これからもこの活動を続けていくつもりです」
 中野坂上の駅周辺は、近年の再開発によって大きな進化を遂げました。駅前からほんの少しだけ離れた住宅街には、今も昔も変わらず地道な活動を続けるボランティアの皆さんがいました。
写真:大活躍の青パト
大活躍の青パト
写真:シールはマグネットで脱着
シールはマグネットで脱着


【取材日:令和4年5月19日】

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