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中町4・5丁目町会「緑のレンジャー」

地域 東京都世田谷区

 近代的なデザインの校舎をもつ世田谷区立中町小学校と玉川中学校は、ひとつの敷地を分け合って並んでいます。つまり、両校に通う子供は最大9年間、地元のボランティアに温かく見守られて通学することになるのです。
 両校の通学路で毎朝子供たちの安全と安心を見守っている、グリーンの帽子とジャンパーに身を包んだ「緑のレンジャー」の皆さんは、どのような活動を行っているのでしょうか
写真:「ながら見守り」出発前の証運見守り隊
中町4・5丁目町会「緑のレンジャー」のみなさん
※ 写真撮影時のみマスクを外していただきました。

 両校の裏手を小さな川(谷沢川)が流れ、1kmほど下流に行けば23区内とは思えない景色が広がる等々力渓谷。その水と緑を求めて、何種類もの野鳥が飛び交う自然豊かな街が世田谷区中町です。町会の起源ははっきりしませんが、「少なくとも73年前には存在していた」という長い歴史があるそう。
 「昔は1~5丁目まで全体でひとつの町会だったのですが、もともと地元の人が多く住んでいる1~3丁目と、ほかから移住してきた人が多い4~5丁目とが別々になって今に至ります。4~5丁目にあった大手企業の社宅がなくなって、その跡地に多くの人が越してきたという経緯があるからです。」
 中町4・5丁目町会副会長の菊田正男さんが、そう教えてくれます。
 その町会の防犯部が中心となって中町小学校に通う子供たちの通学路見守りを始めたのは、平成15年のことでした。
 「以前から町会の防犯部として夜間パトロールを行っていましたが、中町小学校周辺は比較的交通量が多いことから、子供たちが安全に安心して学校に通うことができるよう、校長先生に提案する形で、毎朝の登校見守りが始まりました。」
 以来、メンバーの提案で「緑のレンジャー」とのチーム名も決まり、雨の日も風の日も、子供たちを交通事故や犯罪から守るための活動は今日まで休まずに続いているそう。取材当日も子供たちが緑のレンジャーの皆さんに対して「おはようございます!」と元気に挨拶する姿がみられ、長年の活動により地域と子供たちの固い絆が構築されていることが窺えました。
写真:菊田 正男 さん
菊田正男さん
写真:通学路の各所に隊員の姿が
写真:通学路の各所に隊員の姿が
通学路の各所に隊員の姿が
 「以前この近くで子供が巻き込まれる交通事故がおきまして、それがひとつの契機となり私たちの活動もより一層、本格的になりました。今では、毎年新一年生に挨拶をして顔を覚えてもらう機会を作ってもらったり、子供たちの地域安全マップを作る授業に同行してマップ作りを手伝うこともしています。」
 と言うのは、同じく副会長の菅原道次さん。
 このあたりは静かな住宅街ですが、道路は環状八号線の渋滞を避けるための抜け道として使われます。そこでレンジャーたちは通学路を隅々まで調査し、危険度の高いポイントを割り出して隊員を立たせるようにしました。同時に、地元の玉川警察署や世田谷区と交渉を重ね、一部の道路を車両通行止めにしてもらうなどの対策も取りました。
 「猛暑の日や大雨の日は、大変といえば大変です。でも、かわいい子供たちの顔を見られるだけで楽しいですし、卒業して何年も経って成人した子が道で声をかけてくれるような喜びもあります。だから、やめられません。」菊田さんは、そう言って笑顔を見せます。
 菅原さんは、「コロナ禍で入学式や卒業式が中止になってしまって、参加できなかったことが残念」と肩を落とします。おふたりとも子供たちを「自分の孫のよう」だと感じているそうです。
写真:菅原道次さん
菅原道次さん
写真:作成された地域安全マップ
作成された地域安全マップ
写真:登校時間は車両通行止めに
登校時間は車両通行止めに
 登校時だけでなく、下校後にも活動は行われます。なかでも特徴的なのは、BOP(※世田谷区の学童保育システム)から帰宅する子供を自宅まで送ることです。
 「BOPは午後6時までで、それ以降に帰宅する子供たちを同じ方向に帰る子供ごとグループに分け、一人ひとりが玄関に入るまで送り届けます。以前、家まで送り届けたのは良いのですが、親御さんがまだ帰宅しておらず、子供も家の鍵を持っていなかったため、子供と一緒に玄関前で親御さんの帰りを待っていたこともありますよ。」
 こんな苦労話をするときにも、菅原さんは実に楽しそう。
 取材日(令和3年3月23日)がちょうど年度末だったため、卒業する子供たちからの手紙が隊員に送られる心温まるシーンも見られました。例年は子供たちから直接手紙を受け取るそうですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、子供たちからではなく担任の先生から手紙が手渡されました。
 直接子供たちの顔を見て手紙を受け取ることができなくて残念ですが、こういった子供たちからの感謝の気持ちを伝えてもらえることが活動の励みになると、レンジャーの皆さんは話します。
 「登校時だけではなくBOPからの帰宅時まで見ているという点で、私たちの見守り活動は全国でも珍しいのではないかと思っています。子供にも保護者にも安心を感じてもらえているようですし、それが私たちの喜びでもあります。今後も現状を維持できるよう、地域の皆さんと一緒に活動を続けていくつもりです。」
 菅原さん、菊田さんともに現在は70代。安心・安全の維持とともに、後継者の育成が目標だと語ってくれました。
写真:横断歩道を渡る子供たちを優しく見守ります
横断歩道を渡る子供たちを優しく見守ります


【取材日:令和3年3月23日】

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