3世代の絆で、町内美化と防犯を |
「おはようございます!」 地元の荏原警察署係員が挨拶すると、子供たちから元気な声が返ってきました。その手には、ほうきやちり取りなどの清掃用具が握られています。 環境美化活動の開始に先立ち、荏原警察署係員から最近発生した不審者による声掛け事案の説明と、「いかのおすし」などの不審者に遭遇した際の身を守るコツについて話がありました。 子供たちや、保護者、町会の皆さんは、荏原警察署係員の防犯講話に大きくうなずくと、数名ずつのグループに分かれて、町内の環境美化活動へと繰り出していきます。 子供たちの素早い動きで、街はあっという間にきれいになっていきました。 |
バットを掃除用具に持ち替えて |
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「町会としては、さまざまな活動を行っています。防犯関連では、毎朝の登校見守りや、年末に行う夜警など。熱心な方が多いので、こちらから案内しなくても自然とメンバーが集まってくれます。」 そう言って目を細めるのは、西中延2丁目町会会長の塚本良一さん。 「ここ中延地区は、五反田のすぐ南。都心には近いし、以前は商店街や飲食店などがあって夜も賑やかでしたが、今は静かな住宅街になっています。東京全体がそうであるように犯罪も減っていて、最近は事件が起きたという話は聞きません。」 あたりには一戸建ての住宅が多くある中、最近は家族向けのマンションも増えているとのこと。そうなると、地域の子供の数が増えてきます。そこで地元の少年野球チームに声をかけ、環境美化活動に参加してもらうことになったそうです。 |
塚本良一さん |
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真っ赤なユニフォームが凛々しいチームの名前は、西中ストロングス。現在は、小学生28名が所属しています。 「野球はチームスポーツなので、試合をするにも仲間や相手チームが必要です。また、試合のときには、地元の皆さんがストロングスの帽子やシャツを身につけて応援に来てくれますし、土・日・祝日に行っている練習は小学校の校庭を借りています。そのように日頃からお世話になっている方々への恩返しのつもりで、環境美化活動に加わるようになりました。試合・練習ができるのもすべては地域の方々の協力があってのこと。そういうことを、子供たちには肌で感じて欲しいのです。」 と話すのは、監督の中川隼さん。 子供たちも加わって町内の環境美化活動を行うのは、月1回。西中ストロングスの選手たちは毎月欠かさず参加し、街をきれいにした後で野球の練習に向かうそうです。 |
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「うちの町会は、円滑に運営ができていると思います。それでも課題はあって、ひとつは町会内の高齢化。もうひとつは加入者が減っていることです。でも、こうやって子供たちと活動をすると、その親御さんたちがついてきてくれます。小学生と保護者世代、そして祖父母世代が一緒になって街を美しくし、見守っていく。そうするうちに、やがて世代交代をしていけたらいいと願っています。」 街をきれいにすることと、安全を守ること。それを3世代で共有し、次の世代に引き継いでいくこと――。ひとつの理想形が、品川区荏原地区の西中延2丁目町会にありました。 |
西中ストロングスの皆さん |
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