大東京防犯ネットワーク

　子供自身の危機回避能力向上を目的とした「地域安全マップづくり」の公開モデル授業を、小金井市立南小学校、練馬区立大泉第一小学校の2校で開催しました。
　地域安全マップづくりを行ったのは、小金井市立南小学校3年生と、練馬区立大泉第一小学校5年生の児童です。地域安全マップの考案者である立正大学の小宮教授を講師に迎え、「危険な場所」「安全な場所」の見分け方を学んだ後、立正大学学生の補助のもと、フィールドワークとマップ作製を行いました。
　授業の様子は、他校の教職員や児童の保護者など多くの方々に公開され、子供達による地域安全マップづくりを見学しました。

　犯罪の起こりやすい危険な場所について、「（誰もが）入りやすい・（誰からも）見えにくい」というキーワードを使って説明がなされました。
　「犯罪者は公園や学校周辺など子供が多い場所を狙う。また、大勢の大人がいる場所であっても、各々は自分の子供しか見ていないので、子供を一人にしておくと危ない。このため、人の多い場所は安全とは言えない。」など、目からウロコの授業に、子供たちだけでなく、見学の大人たちからも驚きの声が上がっていました。

　講義後、1グループ5～6人程度の班に分かれてフィールドワーク（まち歩き）に出発です。各班には、小宮教授や学生が帯同します。子供たちは、講義で習った危険な場所・安全な場所をキーワードを使いながら探しました。
　ある班では、小宮教授による「ネコがいるよ。」との危険な場所に誘いこむ「騙し」の手口も体験しました。事前学習では、「僕たちは騙されない」と話していた子供たちもあっけなく騙されてしまいました。しかし、一度騙されることで、子供たちは「もう騙されない。」としっかり学習できました。
　また、「犯罪が起きそうな危険なところはありますか？」というインタビューを通じて、地域の方との交流もできました。

　フィールドワークから帰った後は、いよいよマップづくりです。
　フィールドワークで見てきた場所を写真を見て思い出しながら、安全又は危険と考える理由をふせんに書いて、立正大学学生から助言を受けました。その後、色紙に清書して模造紙に貼っていきます。この過程がマップづくりで最も重要な取組となります。
　みんなで役割分担しながら、デザインや色使いを工夫して楽しい学習ができました。

　子供たちがマップづくりをしている時間帯で、小宮先生から地域安全マップづくりの子供への指導方法について教員・保護者向けに講義がありました。
「入りやすく」「見えにくい」場所が犯罪の起こりやすい危険な場所ということについて実際に過去に事件があった犯罪現場の写真も示しながら説明がありました。また、「地域安全マップづくりは、子供の危機回避能力の向上を目的とした取組だが、子供たちが地域と交流しながら、グループワークを通じて成果物を作成することで、子供の自信や地域への愛着心が育まれ、チームワークも強まる。マップを作りあげたことに伴う達成感や自身が他の場所でも良い影響を及ぼす。」とのお話しもいただきました。

　各班の代表者が、完成した地域安全マップについて「入りやすい」「見えにくい」というキーワードを使って、発表しました。
発表では、「いつも歩いている道でも、実は危ない場所がいっぱいあってびっくりした。」「危ないと思っていたところが、意外と安全であることに驚いた。」「地域のいろんな人が見守ってくれていることがわかった。」という感想がありました。

　最後に、小宮教授から
「危ない場所には近づかない」
「危ない場所には一人で行かない」
「危ない場所に一人で行かなければならないときは十分気をつける」という「三原則」を、学生の寸劇も交えながら教わり、授業を終えました。
　見学の先生からは、「とても勉強になった。自分の学校では自分で授業しなければいけないので、今日見たことをしっかり覚えて子供たちに教えていきたい。」という声が聞かれました。

小金井市立南小学校

練馬区立大泉第一小学校